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判例(芸能プロダクションが当該写真を掲載していたことが、パブリシティ権、肖像権を侵害し、不正競争防止法2条1項1号に該当するか)

2024/07/02 更新

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事案

(1)芸能プロダクションと所属タレントとの間で専属契約の解除の有効・無効を争っていた。
(2)芸能プロダクションは、所属タレントの顔写真について、所属しているタレントとして自社のホームページに掲載していた。
(3)専属契約の解除を有効とする判決が確定した。芸能プロダクションは、当該写真を削除した。
(4)所属タレントは、契約の有効・無効を争っている期間中に、芸能プロダクションが当該写真を掲載していたことが、パブリシティ権、肖像権を侵害し、不正競争防止法2条1項1号に該当するとして訴訟を提起した。

判決

パブリシティ権

(1)肖像等を無断で使用する行為は、①肖像等それ自体を独立して鑑賞の対象となる商品等として使用し、②商品等の差別化を図る目的で肖像等を商品等に付し、③肖像等を商品等の広告として使用するなど、専ら肖像等の有する顧客吸引力の利用を目的とするといえる場合に、パブリシティ権を侵害するものとして、不法行為法上違法となる(ビンク・レディー判決)。
(2)芸能プロダクションにとって所属タレントは商品そのものである。芸能プロダクションが、所属タレント(商品)を紹介することは商品の差別化を図ったり、商品を広告したりすることはいえない。パブリシティ権を侵害しない。

肖像権侵害の有無

(1)個人は、みだりに自己の容ぼう等を撮影等されず、又は自己の容ぼう等を撮影等された写真等をみだりに公表されない権利(肖像権)を有する。
(2)容ぼう等を無断で撮影、公表等する行為は、①私的領域において撮影し又は撮影された情報を公表する場合において、当該情報が公共の利害に関する事項ではないとき(プライバシー権)、②公的領域において撮影し又は撮影された情報を公表する場合において、社会通念上受忍すべき限度を超えて侮辱するものであるとき(名誉権侵害)、③公的領域において撮影し又は撮影された情報を公表する場合において、当該情報が公表されることによって社会通念上受忍すべき限度を超えて平穏に日常生活を送る利益を侵害するおそれあるときなど、被撮影者の被る精神的苦痛が社会通念上受忍すべき限度を超える場合に限り、肖像権を侵害するものとして、不法行為法上違法となる。
(3)芸能プロダクションは、所属タレントの顔写真を自社のホームページに掲載することは、このどれにもあたらない。

不正競争防止法2条1項1号
(1) 不正競争防止法は、他人の周知な商品等表示と類似する商品等表示を利用して、その商品を販売する者(出所)が他人であると誤認させる行為を不正競争防止行為とする(不正競争防止法2条1項1号)。
 不正競争防止法にいう「商品等表示」は、出所表示その商品の販売する者が誰であるかを表示する機能(出所表示機能)を有する必要がある。
(2)この点、所属タレントが営業活動をすることはほとんどない。所属タレントは有名であっても、その氏名や容ぼうが持つ出所は芸能プロダクションそのものである。
(3)所属タレントと芸能プロダクションとの関係においては、所属タレントが有名であっても、同人が営業等の主体であると認められる事情がない限り、芸能プロダクションの行為が不正競争防止法にいう「商品等表示」にあたることはない。
(3)芸能プロダクションは、所属タレントの顔写真を自社のホームページに掲載することは、不正競争防止法2条1項1号に該当しない。

 令和5年12月11日東京地判

 判例タイムズ1520号245頁

解説

 パブリシティー権の侵害や、肖像権の侵害について、どのようにな要件で審理されるかを示した実務上参考になる判例です。

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