判例(詐欺のような手法で資金調達を行っているとのブログの記載について、当時より11年が経過し、当該記事を掲載する公益性が失われたとして、その削除をブログ運営者等に請求することができる。)
2025/05/07 更新
このページを印刷事案
詐欺のような手法で資金調達を行っているというブログが記載された。
同人は出資法違反で有罪判決を受けた。同有罪判決には執行猶予が付されていたところ、執行猶予期間は満了した。
有罪判決から11年が経過した。
ブログの内容は、今後の捜査に注目が集まるという内容で長期間に渡って閲覧されることは予定されていない。
本件の記事について、他のインターネットの記事は閲覧できなくなっている。
原告は、公的な立場にあるものではない。
判決
上記の事案について、「詐欺のような手法で資金調達を行っている」とのブログその削除をサイト運営に対し請求することができる。
名古屋地判令和6年8月8日
判例タイムズ1530号223頁
解説
(1)類似の判例としては、逮捕されたとのツイートについて、逮捕から約8年が経過し、「公表されない法的利益」が一般人の閲覧に供し続ける理由に優越する場合には、その削除をSNS運営者等に請求することができるとした判例最判/令和4年6月24日民集 76巻5号1170頁,、判夕1507号49 頁がある。
同伴例は、 ツイートにより摘示され た上告人の逮捕という事実は,それがされた時点 では公共の利害に関する事実であったといえるものの、 ①逮捕から8年が経過し、②罰金刑の言渡しはその効力を失っていること、③逮捕についてのインターネット上の他の報道記事も既に削除されていること、④本件ツイート は逮捕の事実を速報することを目的としてされたものとうかがわれ、長期間にわたって閲覧され続けることを想定してされたものであるものではないこと、⑤上告人が公的立場にある者ではないこ となどの諸事情に照らすと、上告人の削除請求を認容した。
(2)本判決は、上記の判例と同様の要件を満たすことから、原告の削除請求を認めたものである(判例タイムズ1530号225頁)。