契約不適合責任
2024/09/13 更新
このページを印刷契約と事故
契約が合意どうり履行されれば、問題はありません。
自然災害が原因で履行できない場合には、当事者に帰責事由がないことになり、危険負担の問題となります。
債務者に帰責事由がある場合には、債務不履行もしくは、契約不適合責任のどちからの問題となります。
債務者が債権者に目的物を交付したが、その目的物に欠陥があった場合には契約不適合責任の問題となります。
契約不適合責任
契約不適合責任は、債務不履行の責任の特則です(契約責任説)。
契約の内容どおり、再度履行してほしいという追完請求(民法562条)、契約どおりでないから減額してほしいという減額請求(民法563条)、損害賠償請求や、契約の解除ができます(民法564条)。
- 民法
- 第562条 買主の追完請求権
1 引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる。ただし、売主は、買主に不相当な負担を課するものでないときは、買主が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができる。
2 前項の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、同項の規定による履行の追完の請求をすることができない。
第563条 買主の代金減額請求権
1 前条第1項本文に規定する場合において、買主が相当の期間を定めて履行の追完の催告をし、その期間内に履行の追完がないときは、買主は、その不適合の程度に応じて代金の減額を請求することができる。
2 前項の規定にかかわらず、次に掲げる場合には、買主は、同項の催告をすることなく、直ちに代金の減額を請求することができる。
一 履行の追完が不能であるとき。
二 売主が履行の追完を拒絶する意思を明確に表示したとき。
三 契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、売主が履行の追完をしないでその時期を経過したとき。
四 前3号に掲げる場合のほか、買主が前項の催告をしても履行の追完を受ける見込みがないことが明らかであるとき。
3 第1項の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、前二項の規定による代金の減額の請求をすることができない。
第564条 買主の損害賠償請求及び解除権の行使
前2条の規定は、第415条の規定による損害賠償の請求並びに第541条及び第542条の規定による解除権の行使を妨げない。
第565条 移転した権利が契約の内容に適合しない場合における売主の担保責任
前三条の規定は、売主が買主に移転した権利が契約の内容に適合しないものである場合(権利の一部が他人に属する場合においてその権利の一部を移転しないときを含む。)について準用する。
契約不適合責任の期間制限
民法の通知義務
目的物が買主に引き渡された場合において、買主がその不適合を知った時から一年以内に「目的物が契約に適合しないこと」を売主に通知しなければ、契約不適合責任を行使できなくなります(民法566条)。
1年以内に損害賠償請求をする必要はなく、裁判外でも「目的物が契約に適合しないこと」を売主に通知すればたります。
商法の通知義務
商人間の売買の場合には、直ちに、「目的物が契約に適合しないこと」を売主に通知しなければ、契約不適合責任を行使できなくなります(商法526条2項)。
「目的物が契約に適合しないこと」が直ちに発見することのできない場合において上記の上記の適用がないが、買主が6箇月以内にその不適合を発見したときも、上記の通知の義務が発生します(商法526条2項)。
消滅時効
契約不適合責任についても消滅時効に掛かります。その起算点は、買主が不適合を知ったときから5年、目的物の引き渡しを受けたときから10年です。
参考
岡口基一 「要件事実マニュアル 第5版 第2巻 民法2 」82頁
- 民法
- 566条 目的物の種類又は品質に関する担保責任の期間の制限
売主が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合において、買主がその不適合を知った時から一年以内にその旨を売主に通知しないときは、買主は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。
ただし、売主が引渡しの時にその不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、この限りでない。
- 商法
- 526条
1 商人間の売買において、買主は、その売買の目的物を受領したときは、遅滞なく、その物を検査しなければならない。
2 前項に規定する場合において、買主は、同項の規定による検査により売買の目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないことを発見したときは、直ちに売主に対してその旨の通知を発しなければ、その不適合を理由とする履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。売買の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しないことを直ちに発見することのできない場合において、買主が6箇月以内にその不適合を発見したときも、同様とする。
前項の規定は、売買の目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないことにつき売主が悪意であった場合には、適用しない。