契約締結上の過失
2024/12/30 更新
このページを印刷(1)契約の締結の直前に、相手方が正当な理由もなく取引を中止した場合には、契約の締結上の過失が問題となる。
(2)契約の締結に向けて交渉を行い、一方当事者が契約の締結を期待して費用を支出したが、他方当事者が正当な理由もなく取引を中止した場合には、不法行為責任を負う。
(3)この場合の損害賠償の範囲において、確かに、債務者の責に帰すべき事由により給与を不能にされた場合には、履行利益も含まれるべきという見解もある。しかし、契約の締結と同視できる事情のない限りは、信頼利益に限られるというのが通説(判例の多数)です。
履行利益
(1)履行利益は契約が有効に成立していれば、得れたであろう利益のことをいいます。
(2)例えば、購入した土地を転売して、利益を得れたであろう場合には、その転売利益も含みます。
信頼利益
(1)信頼利益とは、その契約が成立するだろうと考えて、実際に支出した費用のことをいいます。。
(2)例えば、土地を転売するために、登記手続を準備し、司法書士に支払った前金がこれにあたります。
(3)契約締結上の過失によって認められる損害は、この信頼利益に限られる、と言われています。
参考
判例タイムズ1526号96頁以下
契約締結上の過失について、簡潔に説明されています。