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子供の引き渡しと人身保護法

2024/11/14 更新

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親権者、監護権者の変更

離婚事件等では、夫婦の一方が、他方に対し、「自分が監護権者である。」「監護権者である自分に対し子を引き渡せ。」と子の引き渡しを求めることがあります。

家庭裁判所は、子供を監護する者がどちらが適切なのかを判断して、親権者、監護権者を決めます。

「子の引き渡し」の強制執行

家庭裁判所の審判等により子の引き渡しを命じられたが、他方の親が引き渡しに応じない場合や、子供が反発して強制執行が不能になる場合があります。

この場合に、監護権者は、人身保護法による子の引き渡しを請求することも考えられます。

人身保護法と判例

監護権を有する請求人から監護権を有しない拘束者に対し幼児の引き渡しを請求する事案では、「被拘束者を請求人の監護の下に置くことが拘束者の監護の下に置くことに比べて子の福祉の観点から著しく不当である。」と認定する事情がない限り、請求人に子の引き渡しが認められます。

つまり、判例(人身保護法)は、実体上、「請求人が被拘束者に対し、子の引き渡しを請求する権利がある」場合には、同権利行使が権利濫用等にあたるような特段の事情がない限りにおいて、実体上の権利どおりの決定をします(監護権を有する請求人から監護権を有しない拘束者に対し幼児の引き渡せ、との判決を下します。)。

人身保護法の審理手続

1 国選代理人の調査

監護権を有する請求人は、裁判所に対して、監護権を有しない拘束者に対し幼児の引き渡しを請求する旨の請求書を出します。

幼児の意思を第三者として確認するために、国選代理人が選任されます。

国選代理人は、裁判所が選んだ中立的な弁護士です。

国選代理人が、拘束者の下で暮らしている幼児に会いに行って1ヶ月ほどで報告書を作ります。

国選代理人の報告書が完成した後に、尋問期日が開かれます。

2 答弁書

国選代理人の報告書が完成した後に、拘束者(の代理人弁護士)は答弁書を出します。

国選代理人の報告書を前提に、請求人と拘束者が書面にて、お互いの言い分を出します。

3 尋問と判決

尋問期日において、拘束者は、幼児を裁判所に連れて行く必要があります。裁判所の職員が、尋問期日において幼児を預かります。

尋問期日において、請求人と拘束者(夫婦(元夫婦)における、監護権者と、子供を実際に養育している者)の尋問が行われます。

尋問期日でおいて、尋問後に判決が言い渡されます。

実体上、請求人が被拘束者に対し、子の引き渡しを請求する権利がある場合には、同権利行使が権利濫用等にあたるような特段の事情がない限りにおいて、実体上の権利どおりの決定がされます(監護権を有する請求人から監護権を有しない拘束者に対し幼児の引き渡せ、との判決を下ります)。

裁判所の職員が、判決に従って、幼児をそのまま引き渡します。

人身保護法の審理スピードは早く3ヶ月ほどで判決となります。

人身保護法と上告

人身保護法の判決については控訴ができず、上告することしかできません。

実務上は、上告申立書と上告受理申立書を提出することになります。

上告及び上告の期間は、判決の言い渡しから3日以内、上告理由書、上告受理申立書の提出は15日以内です。

最高裁は、上告については理由がないと判断したときには、審問を経ないで却下します。

人身保護法
第41条 上告
1 下級裁判所の判決に対しては、控訴をすることはできないが、最高裁判所に上告をすることができる。その期間は、言渡しの日から3日とする。
2 上告理由書及び上告受理申立て理由書の提出期間は、15日とする。

第42条 書面審理
最高裁判所は、上告状、上告理由書、答弁書その他の書類によつて上告を理由がないと認めたときは、審問を経ないで、判決で上告を棄却することができる。


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