明示的一部請求
2023/10/15 更新
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(1)明示的一部請求は、本当は1億円請求したいのだけど、今回は1000万円だけ請求するなど、請求金額が一部請求だと明示した訴えです。
(2)例えば、訴状の結論部分について、「よって、損害額1000万円のうち200万円の支払いを請求する。」と記載したりします。
(2)「1000万円を貸したが、500万円の返済を受けたので、残り500万円を請求する。」という請求も明示的一部請求です。なぜなら、返済された500万円は、「返済されたかどうか」が審理の対象となっていません。その意味で、請求金額が一部請求だと明示された請求となります。
明示的一部請求と実務
(1)例えば、1億円で訴状を作ると、裁判所に納める収入印紙(裁判所の手数料)が巨額になります。
(2)訴訟手続は、和解で終わることも多いです。裁判所が判決を出す前に、「〇円くらいで和解してはどうか。」と打診することも多いです。
裁判所は紛争を解決する期間です。判決までいかずに、和解で解決するのあればそれにこしたことはありません。
(3)和解の場合には、請求額が1000万円でも、1億でも変わりません。裁判所は請求額にとらわれずに、妥当だと思う和解案を出します。
(4)判決になる場合には、1000万円しか請求していない場合には、1000万円までの判決しか出せません。
そのため、和解できないと判断した時点で、判決の直前に、訴えの変更(請求額を増やす手続)をすることが多いです。