法人破産と事業譲渡
2023/10/16 更新
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旧会社を破産させて、新会社を設立し、事業を引き継ぐことは合法的にできます。
しかし、以下の要件が必要です。
(1) 新会社の事業が許認可の必要がないこと
旧会社は現金不足で今月末には支払い不能になるケースがほとんどです。
時間的な余裕を考えれば、新会社で許認可を引き継ぐことは現実的ではありません。
(2) 破産後も取引先が取引を継続してくれること
破産後も従業員が新会社で働いてくれること
旧会社を破産させる予定だと伝えても、取引先、従業員が付いてきてくれることが必要です。
(3) 運転資金を別途用意できること
破産手続は、破産者の財産を全て現金化して、これを債権者に平等に分配する手続きです。
旧会社の資産を持ち出すことはできません。
つまり、運転資金を別途用意する必要があります。
銀行借り入れ等は期待できません。親類、友人にからお金を借るのが現実的です。
(4)新会社が、前の会社の資産を持ち出さなくても継続できること
上記で説明したとおり、旧会社の資産を持ち出すことはできません。
なお、新会社の設立に資金を用意して、そのお金を使って適正価格で旧会社の資産を買い取ることは許されます。
この買取は、破産する旧会社の財産を現金化することになり、債権者に不利益を与えない、むしろ、債権者に利益になるからです。
(5) 新会社が黒字であること
新会社が旧会社の事業を引き継ぐとして、その事業が黒字であることが必要です。
黒字でなければ、事業を引き継ぐ意味はありません。
代表者の破産
旧会社を破産させる場合、代表者は銀行の個人保証をしていますので、代表者も破産が必要になります。
裁判所は、代表者の破産と一緒にしなければ、旧会社を破産させてくれません(原則)。
破産のメリット・デメリット
(1)破産手続は、破産者の財産を全て現金化して、これを債権者に平等に分配する手続きです。破産手続を経る以上は、旧会社の資産を持ち出すことはできません。
(2)破産手続を経れば、今後クリーンに仕事ができます。
(3)現実的には、旧会社を破産させずに、新会社を設立して同様の事業を営んでいる企業は多数あります。
(4)しかし、旧会社の債権者がどう動く分かりませんので、リスクがあるといえます。債権者が支払いを求めて新会社にくるかもしれません。いろいろなリスクが考えられます。
新会社の設立
(1) 代表者の親族等を株主として、新会社を作ります。
(2) 新会社の設立には1か月ほどかかかります。
(2)代表者は破産しますので、株主にはなりません。代表者が破産するさきには、その株式もとりあげられてしまいます。
(3)なお、代表者が新会社に就任してもかまいません。新会社は株主の者であり、代表者は、新会社(その親族)から経営を委託されているだけだからです。
スケジュール
(1)事前準備
運転資金の準備
取引先、従業員への説明
事業停止日の決定
旧会社で買い取る資産の決定
(2)事業停止の最終月
従業員の解雇(従業員全員を引きぐことはない)
リース品の返却、仕入れた商品の未払い分の返品
事務所の退去・郵便物の転送届
旧会社から買い取る資産の査定・買取
新会社の設立手続
(3)事業停止+新会社
新会社で取引開始
税務署、社会保険、その他、許認可の廃止
破産する旨の受任通知の発送or 破産の申立て