法定審理期間訴訟手続
2024/09/13 更新
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法定審理期間訴訟手続とはどのような制度なのでしょうか?
法定審理期間訴訟手続とは、当事者双方が同意した場合に、6か月以内に審理を終結し、そこから1か月以内に判決をするという制度です(民事訴訟法381条の2~381条の8)。
審理できない事件
以下の事件では利用できません(民事訴訟法381条の2第1項)。
- 消費者契約に関する事件
- 労働紛争に関する事件
双方の同意
法定審理期間訴訟手続で、裁判をするには、当事者双方の同意が必要です。
当事者双方が法定審理期間訴訟手続で審理することを申し出た場合もしくは、一方当事者が法定審理期間訴訟手続で審理することを申し出て、他方が同意した場合には、法定審理期間訴訟手続で審理することができます。
法定審理期間訴訟手続で審理することが決まったとしても、一方当事者が通常訴訟で審理してほしいと申しであれば、通常訴訟に戻ります(民事訴訟法381条の4第1項)。
法定審理期間訴訟手続の判決
法定審理期間訴訟手続の判決については、一方当事者が異議を出すと、判決はないものとして扱って、通常訴訟に戻ります(民事訴訟法381条の7、381条の8)。
通常訴訟に戻っても、同じ裁判官が続けて審理します(民事訴訟法381条の6、381条の7、381条の8)。
判決が出ても一方当事者が異議を出すと効力となくしますので、6ヶ月以内に裁判所が和解案を出して、和解できなければ通常訴訟に戻る、という労働審判と同じような運用がされるでしょう。
法定審理期間訴訟手続の開始日
令和8年5月までに開始することは決まっていますが、正確な制度の開始日は決まっていません。
参考となるHP
法定審理期間訴訟手続(近畿弁護士会連合会)
- 民事訴訟法
- 第381条の2
1.当事者は、裁判所に対し、法定審理期間訴訟手続による審理及び裁判を求める旨の申出をすることができる。ただし、次に掲げる訴えに関しては、この限りでない。
一 消費者契約に関する訴え
二 個別労働関係民事紛争に関する訴え
2.当事者の双方が前項の申出をした場合には、裁判所は、事案の性質 、訴訟追行による当事者の負担の程度その他の事情に鑑み、法定審理期間訴訟手続により審理及び裁判をすることが当事者間の衡平を害し、又は適正な審理の実現を妨げると認めるときを除き、訴訟を法定審理期間訴訟手続により審理及び裁判をする旨の決定をしなければならない。当事者の一方が同項の申出をした場合において、相手方がその法定審理期間訴訟手続による審理及び裁判をすることに同意したときも、同様とする。
3.第一項の申出及び前項後段の同意は、書面でしなければならない。ただし、口頭弁論又は弁論準備手続の期日においては、口頭ですることを妨げない。
4.訴訟が法定審理期間訴訟手続に移行したときは、通常の手続のために既に指定した期日は、法定審理期間訴 訟手続のために指定したものとみなす。
第381条の3
1.前条第二項の決定があったときは、裁判長は、当該決定の日から二週間以内の間において口頭弁論又は弁論準備手続の期日を指定しなければならない。
2.裁判長は、前項の期日において、当該期日から六月以内の間において当該事件に係る口頭弁論を終結する期日を指定するとともに、口頭弁論を終結する日から一月以内の間において判決言渡しをする期日を指定しなければならない。
3.前条第二項の決定があったときは、当事者は、第一項の期日から五月(裁判所が当事 者双方の意見を聴いて、これより短い期間を定めた場合には、その期間)以内に、攻撃又は防御の方法を提出しなければならない。
4.裁判所は、前項の期間が満了するまでに、当事者双方との間で、争点及び証拠の整理の結果に基づいて、法定審理期間訴訟手続の判決において判断すべき事項を確認するものとする。
5.法定審理期間訴訟手続における証拠調べは、第一項の期日から六月(裁判所が当事者双方の意見を聴いて、これより短い期間を定めた場合には、その期間)以内にしなければならない。
6.法定審理期間訴訟手続における期日の変更は、第九十三条第三項の規定にかかわらず、やむを得ない事由がある場合でなければ、許すことができない。
第381条の4
1.次に掲げる場合には、裁判所は、訴訟を通常の手続により審理及び裁判をする旨の決定をしなければならない。
一 当事者の双方又は一方が訴訟を通常の手続に移 行させる旨の申出をしたとき。
二 提出された攻撃又は防御の方法及び審理の現状に照らして法定審理期間訴訟手続により審理及び裁判をするのが困難であると認めるとき。
2.前項の決定に対しては、不服を申し立てることができない。
3.訴訟が通常の手続に移行したときは、法定審理期間訴訟手続のため既に指定した期日は、通常の手続のために指定したものとみなす。
第381条の5
法定審理期間訴訟手続の電子判決書には、事実として、請求の趣旨及び原因並びにその他の攻撃又は防御の方法の要旨を記録するものとし、理由として、第三百八十一条の三第四項の規定により当事者双方との間で確認した事項に係る判断の内容を記録するものとする。
第381条の6
法定審理期間訴訟手続の終局判決に対しては、控訴をすることができない。ただし、訴えを却下した判決に対しては、この限りでない。
第381条の7
1.法定審理期間訴訟手続の終局判決に対しては、訴えを却下した判決を除き、電子判決書の送達を受けた日から二 週間の不変期間内に、その判決をした裁判所に異議を申し立てることができる。ただし、その期間前に申し立てた異議の効力を妨げない。
2.第三百五十八条から第三百六十条まで及び第三百六十四条の規定は、前項の異議について準用する。
第381条の8
1.適法な異議があったときは、訴訟は、口頭弁論の終結前の程度に復する。この場合においては、通常の手続によりその審理及び裁判をする。
2.前項の異議の申立ては、執行停止の効力を有する。
3.裁判所は、異議後の判決があるまで、法定審理期間訴訟手続の終局判決の執行の停止その他必要な処分を命ずることができる。
4.第三百六十二条及び第三百六十三条の規定は、第一項の審理及び裁判について準用する。