相続放棄の熟慮期間と判例
2024/04/29 更新
このページを印刷相続放棄
被相続人(例えば、父が亡くなったとしたら、その父)に借金等がある場合には、プラスの財産もマイナスの財産も相続したくないとして、届け出る手続が相続放棄の手続きです。
相続放棄の期限
相続放棄の手続きができるのは、被相続人(例えば、父が亡くなったとしたら、その父)が亡くなったことを知った時から3か月以内が原則です。この期間を熟慮期間といいます。
熟慮期間と判例1
(1)例えば、父が死亡してから3年が経過した、(父が亡くなったことを知った時から3か月は当然経過している。)その後、父に借金があったことが分かったとしても相続放棄できないのか、問題となります。
(2)前述したように、相続放棄の手続きができるのは、故人が亡くなったことを知った時から3か月以内が原則です。
(3)例外的には、相続人について、被相続人(例えば、父が亡くなったとしたら、その父)に借金等がないと信じた合理的な理由がある場合には、その借金等を知った時から3か月以内であれば相続放棄が可能です(最判昭和59年4月27日)。
熟慮期間と判例2
<判決の内容>
相続人らが高齢であったことや、親族が「代表して相続放棄を行う」と述べたこともあって、相続放棄手続きを行う必要がないと誤信したこと等を考慮して、相続放棄の具体的な必要性の説明を受けてたときから3か月以内であれば相続放棄が可能であるとの判例があります。
正確には、相続放棄の具体的な必要性の説明を受けてたときを起算点として、熟慮期間を計算すると判示しました。
令和元年11月25日 東京高等裁判所
参考
判例タイムズ 1481号74頁以下
<解説>
相続人について、被相続人(例えば、父が亡くなったとしたら、その父)に借金等がないと信じた合理的な理由がある場合には、その借金等を知った時から3か月以内であれば相続放棄が可能です(最判昭和59年4月27日)
本判決は、相続人らが高齢であったことや、親族が「代表して相続放棄を行う」と述べたこともあって、相続放棄手続きを行う必要がないと誤信したこと等を考慮して、相続放棄の具体的な必要性の説明を受けてたときから3か月以内であれば相続放棄が可能である旨を判示しました。
正確には、相続放棄の具体的な必要性の説明を受けてたときを起算点として、熟慮期間を計算すると判示しました。