経営者保証ガイドライン(の概要)と、法人破産
2024/06/10 更新
このページを印刷経営者保証ガイドライン
(1)法人を破産させた場合、今までは、経営者も一緒に破産する必要がありました。
(2)経営者保証ガイダラインを利用した活用した、経営者の債務整理の方法があります。
(3)同手続は、金融機関に対して、個人破産と同基準で任意で支払うことにより債務免除をしてもらう手続きです。
対象債権
(1) 銀行融資の個人保証、リースの個人保証が対象となります。
「対象債権」ではない債権(固有債権)
(1)テナントの個人保証や、経営者が友人に借りたお金は、金融機関等ではなく、経営者ガイドラインを通じた解決ができません。
(2)経営者が個人的にキャッシングして、そのお金を会社の資金に入れている場合や、経営者の個人のクレジットカードを使って会社の経費を支払っている場合も、これらは会社の債務を保証したものではなく、対象債権とはなりません。
(3)多くの場合には、経営者ガイドラインの枠外で交渉して債務免除をお願いすることになります。満額支払うケースや、経営者ガイドラインの対象債権者と同一基準で支払うケースがありえます。なお、満額支払う支払う場合には、他の債権者に比べて優遇することになります。少なくとも、偏頗弁済にならない工夫が必要です。親族等に支払ってもらうことも検討します。
一時停止等の要請
(1)経営者保証ガイドラインの定まった書式で、一時停止等の要請の書類を、金融機関等の対象債権者に対し送ります。
(2)一時停止等の要請書を送ったその日を基準にして、個人破産と同基準で任意で支払うこと交渉することになります。
経営者保証のガイドラインの手続きの流れ
(1) 一時停止等の要請書を送ります。
(2)その後、申立人の財産(債権)や、債務の資料とともに支払額の提案(調停案)を金融機関等の対象債権者に送ります。
(3)追加で、金融機関等の対象債権者から質問があるので、資料の送付と回答を繰り返します。(ある金融機関から質問が来た場合には、その質問の回答について他の金融機関等にも送って状況を共有すべきです。)
(4)債務免除の対象とならない債務があれば、「◯円で示談予定である」ことを説明して、金融機関等の対象債権者に了解を得ることが必要です。
(5)これらのやりとりは1年程度かかります。
(6)金融機関等の対象債権者から支払額の提案(調停案)について了承を得れば、特定調停の申立を行います。
経営者保証ガイドラインのメリット・デメリット
(1)金融機関等の対象債権者と1年程度交渉する必要があり、時間がかかります。
(2)金融機関等の対象債権の了承を得られれば、信用情報に破産と記載されることはありません。
仮に、経営者の債務が、銀行融資の個人保証だけであれば、カードを使い続けられる等のメリットがあります。
(3)経営者が個人的にキャッシングして、そのお金を会社の資金に入れている場合や、経営者の個人のクレジットカードを使って会社の経費を支払っている場合については、その後、分割払いして支払うことになりますが、そのことは任意整理として信用情報に記載されることになります。
(4)経営者が個人的にキャッシングして、そのお金を会社の資金に入れている場合や、経営者の個人のキャッシュカードを使って会社の経費を支払っている場合については、経営者ガイドラインが使えないために、全額支払う必要があります。
(5)金融機関等の対象債権者との交渉後、同人の了承が得られない場合、1年を経過してから破産を選択することがありえます。その場合には、本来であれば破産手続を開始できた時点から1年間、個人の努力で取得した財産も配当の対象となるリスクがあります。
(6)金融機関に対して、個人破産と同基準で任意で支払うことにより債務免除をしてもらう手続きです。手続きによる経済的なメリットはほとんどありません。
(7)オーバーローンの場合には自宅等を残すことができます。
経営者保証ガイドラインを利用するべき場合
(1)経営者の債務は、銀行融資の個人保証、リースの個人保証だけであること。
(2)債務免除の対象とならない債務がないこと、もしくはあっても少額であること。
つまり、テナントの個人保証や、経営者が友人に借りたお金。経営者の個人的なキャッシング、個人クレジットカードの使用がないこと
(3)法人等の破産後に、経営者が個人で稼いで貯金を増やすことが考え難いこと。
仮に、金融機関等の対象債権者との交渉後、同人の了承が得られない場合、1年を経過してから破産を選択することがありえます。その場合には、本来であれば破産手続を開始できた時点から1年間、個人の努力で取得した財産も配当の対象となるリスクがあります。
(4)違法、不正な会社経営をしていないこと。
経営者ガイドラインは、金融機関等の納得のもとで債務免除を得る手続きです。破産における免責基準と比べても、厳しいチェックがされます。