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判例(日本のユーザーがインターネットを通じて海外のサーバーにアクセスをして、動画を見るサービスがあった。日本のユーザーはその海外のサーバーからプログラムの配信を受けて動画を見ている場合に、そのプログラムが日本の特許に抵触すれば、それは特許権の侵害となる。)

2025/09/30 更新

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最判令和7年3月3日

1 結論

(1)日本のユーザーがインターネットを通じて海外のサーバーにアクセスをして、動画を見るサービスがあった。日本のユーザーはその海外のサーバーからプログラムの配信を受けて動画を見ている場合に、そのプログラムが日本の特許に抵触すれば、それは特許権の侵害となる。

(2)以下のように、発明の実施と、特許の侵害が認定された。

2 発明の実施(「電気通信回線を通じた提供」)

(1)日本の特許の効力は、(日本国内での)特許法2条3項の「実施」にしか及ばない。

 なお、「電気通信回線を通じた提供」は、発明の実施の一つである(特許法2条3項)。

(2)しかし、特許を侵害するプログラムが、海外のサーバーに保存されている場合であっても、日本のユーザーがその海外のサーバーからそのプログラムの配信を受けて日本国内で動画を見ている場合には、日本国内で、「電気通信回路を通じた提供」を受けたと評価される。

特許法2条 
1項 この法律で「発明」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう。
2項 この法律で「特許発明」とは、特許を受けている発明をいう。
3項 この法律で発明について「実施」とは、次に掲げる行為をいう。
 一 物(プログラム等を含む。以下同じ。)の発明にあつては、その物の生産、使用、譲渡等(譲渡及び貸渡しをいい、その物がプログラム等である場合には、電気通信回線を通じた提供を含む。以下同じ。)、輸出若しくは輸入又は譲渡等の申出(譲渡等のための展示を含む。以下同じ。)をする行為
 二 方法の発明にあつては、その方法の使用をする行為
 三 物を生産する方法の発明にあつては、前号に掲げるもののほか、その方法により生産した物の使用、譲渡等、輸出若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為
4項 この法律で「プログラム等」とは、プログラム(電子計算機に対する指令であつて、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。以下この項において同じ。)その他電子計算機による処理の用に供する情報であつてプログラムに準ずるものをいう。

3 特許の侵害

(1)特許法101条は、侵害とみなす行為を規定している。

(2)侵害するプログラムが、海外のサーバーに保存されている場合であっても、日本のユーザーがその海外のサーバーからそのプログラムの配信を受けて日本国内で動画を見ている場合には、プログラムは譲渡されたといえる。

特許法101条(侵害とみなす行為)
次に掲げる行為は、当該特許権又は専用実施権を侵害するものとみなす。
一 特許が物の発明についてされている場合において、業として、その物の生産にのみ用いる物の生産、譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為
二 特許が物の発明についてされている場合において、その物の生産に用いる物(日本国内において広く一般に流通しているものを除く。)であつてその発明による課題の解決に不可欠なものにつき、その発明が特許発明であること及びその物がその発明の実施に用いられることを知りながら、業として、その生産、譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為
三 特許が物の発明についてされている場合において、その物を業としての譲渡等又は輸出のために所持する行為
四 特許が方法の発明についてされている場合において、業として、その方法の使用にのみ用いる物の生産、譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為
五 特許が方法の発明についてされている場合において、その方法の使用に用いる物(日本国内において広く一般に流通しているものを除く。)であつてその発明による課題の解決に不可欠なものにつき、その発明が特許発明であること及びその物がその発明の実施に用いられることを知りながら、業として、その生産、譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為
六 特許が物を生産する方法の発明についてされている場合において、その方法により生産した物を業としての譲渡等又は輸出のために所持する行為

 最判令和7年3月3日

 判例タイムズ1535号78頁

最判令和7年3月3日(システムの構築を生産とした判例)

(1)日本のユーザーがインターネットを通じて海外のサーバーにアクセスをして、動画を見るサービスがあった。日本のユーザーはその海外のサーバーからプログラムの配信受けて動画を見ている仕組みであった。

(2)海外のサーバーを管理し、これらのシステムを構築する行為は、特許法2条3項1号の「生産」にあたり、特許権の侵害となる。

 最判令和7年3月3日

 判例タイムズ1535号101頁

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