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Q 契約不適合責任の性質(債務不履行責任説)について教えて下さい。

2025/10/01 更新

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契約不適合責任

(1)契約不適合責任とは、引き渡されたものが、種類、品質、または数量に関して契約内容に適合しない場合に、売主が買主に追う責任です(民法56条)。

(2)種類、品質、または数量が、契約と合致していないということは債務不履行の状態にあります。

 契約不適合責任は、債務不履行の特則です(債務不履行責任説)。

適用場面

(1)「目的物の引き渡し」前は債務不履行の問題です。

(2)「目的物の引き渡し」後、その目的物について、種類、品質、または数量が、契約と合致していない場合には、契約不適合責任の問題となります。

期間の制限

(1)種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合には、買主はその不適合を知った時から一年以内にその旨を売主に通知しないときは、買主は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない(民法566条)。

(2)これに対して、数量不足については上記のような期間制限はありません。

(3)制限が設けられる理由としては、目的物を引き渡して取引が終了したとする売主の期待を保護するためです。

賠償額の制限

(1)契約不適合責任は改正前の民法では、瑕疵担保責任という名称でした。

 瑕疵担保責任の性質については、債務不履行とは別の法的責任であるという考え方もありました(法定責任説)。その考え方によれば、債務不履行責任(履行利益)の請求はできない。したがって、賠償額は信頼利益(契約が成立したと信頼したことによる損害に限る。)に限るという考え方もありました。

(2)現在では、契約不適合責任は債務不履行の特則だと考えられています。債務不履行責任説だと考えれば、履行利益(契約が履行されたならば買主が得られたであろう利益)も賠償の対象と考えるのが素直な解釈となります。

(3)もっとも、債務不履行責任説を前提としても、契約不適合責任の趣旨は目的物を引き渡して取引が終了したとする売主の期待を保護するものでり、同観点からは賠償額を制限する考え方もありえます。

最判平成13年11月27日

(1)土地売買で公簿面積と実測面積に違いがあったケースで、瑕疵担保責任の問題として、買主の代金減額請求を認めたが、履行利益の賠償は認めませんでした。

(2)上記は、改正前民法の瑕疵担保責任契約の判例です。しかし、契約不適合責任と変わったからといって、上記の結論が変更されるとは限りません。したがって、損害賠償の範囲について、買主側が契約が履行されていれば得られたであろう利益(履行利益)まで請求できるかどうかは、個別の事案によって判断が異なるだろうと言われています。

他人物と契約不適合責任  

民法561条 
 他人の権利(権利の一部が他人に属する場合におけるその権利の一部を含む。)を売買の目的としたときは、売主は、その権利を取得して買主に移転する義務を負う。

数量不足と契約不適合責任  

民法562条
1項 引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる。ただし、売主は、買主に不相当な負担を課するものでないときは、買主が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができる。
2項 前項の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、同項の規定による履行の追完の請求をすることができない。  

民法563条
1項 前条第一項本文に規定する場合において、買主が相当の期間を定めて履行の追完の催告をし、その期間内に履行の追完がないときは、買主は、その不適合の程度に応じて代金の減額を請求することができる。
2項 前項の規定にかかわらず、次に掲げる場合には、買主は、同項の催告をすることなく、直ちに代金の減額を請求することができる。
一 履行の追完が不能であるとき。
二 売主が履行の追完を拒絶する意思を明確に表示したとき。
三 契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、売主が履行の追完をしないでその時期を経過したとき。
四 前三号に掲げる場合のほか、買主が前項の催告をしても履行の追完を受ける見込みがないことが明らかであるとき。
3項 第一項の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、前二項の規定による代金の減額の請求をすることができない。
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