判例(新聞記事(に掲載されている写真を含む)をスマートフォンで撮影して、批評をSNSで投稿する行為が、著作権法における引用に該当し、写真の書作権違とはならない。)
2025/10/06 更新
このページを印刷著作権法と引用

著作物は引用することが認められています(著作権法32条)。
しかし、著作権法で許された「引用」の要件(内容)が問題となります。
引用の要件としては、①引用として利用する側が著作物であること、②引用される側が著作物であることが明確にされていること、③両者の間に主従の関係があることが必要である(主従関係説)という考え方があります。
これに対して、①公平な慣行に合致するか、②引用の目的が正当な範囲であることが必要である(総合考慮説)という考え方があります。
- 著作権法32条(引用)
- 1 公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。
2 国等の周知目的資料は、説明の材料として新聞紙、雑誌その他の刊行物に転載することができる。ただし、これを禁止する旨の表示がある場合は、この限りでない。
判例(令和6年9月26日東京地裁)
1 判決
(1)新聞記事(に掲載されている写真を含む)をスマートフォンで撮影して、批評をSNSで投稿した。
(2)写真の著作権者が、上記行為は写真の著作権の侵害にあたると主張した。
(3)判決は、上記行為は、著作権法における引用に該当し、写真の書作権違とはならない、とした。
2 解説
(1)本判決は、①公平な慣行に合致するか、②引用の目的が正当な範囲であることが必要である(総合考慮説)により結論を出した。
(2)写真は写り込んでいるが、写真は粗く、そのツイッターで投稿された写真が二次利用される可能性は低く、写真の著作権者が、その経済的利用を妨げらることが考えにくい、
(3)ツイッターの投稿において、新聞記事(写真を含む)の出所が〇〇新聞であることは明示されている。
(4)以上を考慮すれば、上記行為は、著作権法における引用に該当し、写真の書作権違とはならない、とした。
参考
判例タイムズ1535号247頁