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Q 錯誤について教えて下さい。

2025/10/06 更新

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錯誤

1 民法の錯誤

(1)民法95条の錯誤とは、内心と表示が不一致であることである。

(2)Xは、Aだと思っていたが、契約書(法律行為)上にBだと表示してしまった、という意味です。

2 民事訴訟と錯誤

(3)錯誤とは、「ある行動からみれば、Bしたい。」と考えているように思えるが、「ある行為からすればAしたい。」と考えていると思える状態のときに成立する。

(4)例えば、当事者は、Aの土地を売却しようとAの土地を訪問して、土壌汚染がないかチェックしたりしていた。しかし、契約書は「土地Bを売る。」と記載されていた場合には、これにあたります。

錯誤の要件事実

①内心は、Aだと思っているのに、Bだと表示したこと

②上記の錯誤が重要であること

③取消の意思表示をしたこと

②重要であること

 一般人の立場で、真実を知っていれば、そのような意思表示(法律行為)をしなかったであろう場合に、重要であるとの要件を満たす。

動機の錯誤

(1)動機の錯誤とは、法律行為(意思表示)の形成過程に錯誤があること

 例えば、売買の法律行為(意思表示)は、「Aさんが、Bさんに、●●の住所の土地を100万円で購入する。」というものである。契約書に土壌汚染がないことと明記がなければ、その土地に土壌汚染がないことは、動機となる。

(2)その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限り、することができる(民法95条2項)。

 上記の「表示」とは黙示の意思表示を含む。

 例えば、一方が、土地を購入する前提として、食品の生産施設を作ることを説明し、土壌汚染の検査を実施し、これを、他方が知っていた場合には、「その土地が土壌汚染されてないこと」という動機が、黙示(契約書に明記されていないが、事実上、その行動が読み取れる)で表示されている、といえる。

動機の錯誤の例

例1:家を建てるために土地を買ったが、建築できない土地だった

動機:   Aさんは、自分の家を建てるために、Bさんから土地を購入しようと考えました。
      土地を購入する場合には、土地の購入目的は話し合うのが普通です。
意思表示: 「この土地を買います」とBさんに伝えて売買契約を結びました。
      契約書には、この土地を購入するとしか記載されていなかった。

例2:有名な画家の本物だと思って絵画を買ったら、贋作(がんさく)だった

動機:   Cさんは、有名な画家Xの真作だと信じて、画廊で1枚の絵画を高額で購入しようと思いました。
      (なお、金額を考えれば、有名な画家の真作であることが前提であったと表示されている。)
意思表示: 「この絵画をください」と店主Dに伝えて購入しました。
      契約書には、この絵画を購入するとしか記載されていなかった。

例3:近くに新駅ができると聞いて土地を買ったが、計画がなかった

動機:   Eさんは、「3年後にこの土地の近くに新しい駅ができる」という噂を信じ、土地を購入した。
意思表示: 「この土地を売ってください」とFさんに伝えて契約しました。
錯誤:   実際には、新駅の建設計画は全く存在しなかった。
      この場合、売主Fさんが、計画を確約していない限りは、錯誤は認められにくいと思われます。
      Eさんの勝手なカン違いにあたるからです。  

重過失

 表意者に重大な過失がある場合には、錯誤取り消しは許されない(民法95条3項)。

共通錯誤

(1)相手方が表意者と同一の錯誤に陥っている場合には、契約を有効にして保護する理由がない。

(2)この場合には、表意者に重過失があっても、錯誤取り消しが認められる(民法95条3項3号)。

民法95条(錯誤)
1項 意思表示は、次に掲げる錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる。
一 意思表示に対応する意思を欠く錯誤
二 表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤
2項 前項第二号の規定による意思表示の取消しは、その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限り、することができる。
3項 錯誤が表意者の重大な過失によるものであった場合には、次に掲げる場合を除き、第一項の規定による意思表示の取消しをすることができない。
一 相手方が表意者に錯誤があることを知り、又は重大な過失によって知らなかったとき。
二 相手方が表意者と同一の錯誤に陥っていたとき。
4項 第一項の規定による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。
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