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Q 父は、法律上は子ではあるが、DNA上は実の子ではない子について婚姻費用や養育費を支払う義務があるのか。

2025/10/08 更新

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母親と子の関係

母親と子は出産によって親子関係が明確になります。

しかし、父親と子の親子関係は簡単に決まりません。

嫡出推定制度・認知制度

(1)婚姻中の妻が出産した子は、夫の子と推定されます。「夫が自分の子である」旨の出生届を市役所に出せば、その記載どおり、戸籍上は夫の子となります。これは、嫡出推定制度です。

(2)上記の場合以外に、父が「自分である」旨の認知の手続きをすると、戸籍上の父となります。これが認知制度です。

法律上は子ではあるが、DNA上は実の子ではない場合

(1)嫡出推定制度や、認知制度によって、法律上の父が決まります。

(2)しかし、妻が不倫をしていて、実は、夫の子ではなかったということもおこりえます。

父と子の親子関係を否定する場合は?

①法律上の推定が及ぶ子

法律上の推定が及ぶ子が、父子関係を否定するためには、嫡出否認の訴えを提起しなければなりません。嫡出否認の訴えは、子が生まれてから3年以内に提起しなければならない等の制限があります。
父子の早期安定をさせるためにこれを争える期間等が制限されています。

②推定の及ばない嫡出子

推定の及ばない嫡出子が、父子関係を否定するためには、親子関係不存在の訴えを提起することになります。親子関係不存在の訴えについては、特に制限がありません。

法律上は子ではあれば、DNA上は実の子ではなくても、子について婚姻費用・養育費を支払う義務がある。

1 法律上の親子関係を争う制度

(1)民法772条1項、2項によって、結婚後200日を経過した後、または婚姻解消後300日以内に生まれた場合にも、夫の子と推定されます。この子のことを「法律上の推定が及ぶ子」といいます。

(2)法律上の推定が及ぶ子が、父子関係を否定するためには、嫡出否認の訴えを提起しなければなりません。嫡出否認の訴えは、子が生まれてから3年以内に提起しなければならない等の制限があります。

(3)この期間を過ぎると、法律上、父は、自分の子であるかどうかを争えません。

 これは、子の権利を守るための制度です。

2 婚姻費用・養育費

 法律上の子ではあれば、DNA上は実の子ではなくても、子について婚姻費用・養育費を支払う義務があります。

最判平成23年3月18日

(1)以下の特別な事情があるとして、DNA上は実の子ではない子について養育費の支払いを否定した事例です。

(2)もっとも、同判例については、父が実の子だと思って、(子が生まれた)平成10年から平成15年まで、その子を含む子3人と妻の生活費として月額150万円、平成16年に婚姻関係が破綻後にも月額55万円の婚姻費用の支払いが命ぜる審判が下され、平成17年に、父が、実の子ではないことを知った等の事情を考慮して、父がDNA上は実の子ではない子について、既に十分な養育費相当額を支払い済みであること等を考慮して、養育費の支払いを否定した判例です。

(3)同判例の原審でも、法律上の子ではあれば、DNA上は実の子ではなくても、子について養育費を支払う義務があると判断されていました。

(4)本件は、例外的な事例であると考えるのが妥当です。

(5)判例も、法律上の子ではあれば、DNA上は実の子ではなくても、子について婚姻費用・養育費を支払う義務があると判断しています。

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