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「営業秘密」不正競争防止法第5条の2の改正

2023/10/30 更新

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不正競争防止法第5条の2の改正

(1)不正競争防止法第5条の2が改正されます。

(2)施工日は、交付の日(令和5年6月14日)から1年以内です。

不正競争防止法第5条の2の趣旨

(1)不正競争防止法は、営業秘密の不正な使用を禁止しています。しかし、「使用」は新会社の内部で行われるために、被侵害者がこれを立証することは困難でありました。

(2)不正競争防止法第5条の2では、一定の要件を満たせば、営業秘密を使用して生産等をしたと推察する規定が設けられています。

現在の不正競争防止法第5条の2

(1)現在の条文では、技術上の秘密について、不正競争防止法第2条第1項第4号、第5号、第8号の行為(営業秘密を取得する行為に限る。)があった場合において、不正競争防止法第5条の2で定める(政令で定める)行為があるときには、営業秘密を使用して生産等をしたと推察する、と規定されていました。

(2)不正競争防止法第2条第1項第4号、第5号、第8号は下記のとおりです。

(3)営業秘密に関する不正行為については、不正競争防止法は、第2条第1項第4号~第9号を定めています。つまり、現行法では、第6号、第7号、第9号の行為について推定規定がありませんでした。

現在の不正競争防止法第5条の2

不正競争防止法第5条の2
技術上の秘密(生産方法その他政令で定める情報に係るものに限る。以下この条において同じ。)について第2条第1項第4号、第5号又は第8号に規定する行為(営業秘密を取得する行為に限る。)があった場合において、その行為をした者が当該技術上の秘密を使用する行為により生ずる物の生産その他技術上の秘密を使用したことが明らかな行為として政令で定める行為(以下この条において「生産等」という。)をしたときは、その者は、それぞれ当該各号に規定する行為(営業秘密を使用する行為に限る。)として生産等をしたものと推定する。

不正競争防止法第2条第1項第4号、第5号、第8号

不正取得類型(4号)
 不正な手段により営業秘密を取得すること、不正に取得した営業秘密を使用すること、又はこれを使用することは不正競争にあたり違法となる(不正競争防止法2条4号)。   不正開示類型(7号)  正当に営業秘密を取得したが、その後に不正な目的で、その営業秘密を使用すること、又は開示することは不正競争にあたり違法となる(不正競争防止法2条1項7号)。

  取得時悪意重過失の転倒者類型(5号、8号)
(1)営業秘密について不正取得行為が介在したこと(取得者が営業秘密を取得するまでの一連の流通過程におけるいずれかの段階において、不正な手段により営業秘密を取得すること行為があったこと)を知ってもしくは重大な過失により知らないで、営業秘密を取得すること、又はこれを使用すること、もしくはこれを開示することは不正競争にあたり違法となる(不正競争防止法2条1項5号)。
(2)営業秘密について不正開示行為が存在したこと(守秘義務に反して営業秘密が流出されたものであること)を知ってもしくは重大な過失により知らないで、営業秘密を取得すること、又はこれを使用すること、もしくはこれを開示することは不正競争にあたり違法となる(不正競争防止法2条1項8号)

改正後の不正競争防止法第5条の2

(1)改正後の条文では、不正競争防止法第5条に、2項~4項が加わりました。

(2)営業秘密に関する不正行為については、不正競争防止法は、第2条第1項第4号~第9号を定めています。

(3)改正後の条文では、不正競争防止法第5条の2は、不正競争防止法第2条第1項第6号、第7号、第9号の行為について推定規定を設けたものです。

改正後の条文

不正競争防止法第5条の2
1項 技術上の秘密(生産方法その他政令で定める情報に係るものに限る。以下この条において同じ。)について第2条第1項第4号、第5号又は第8号に掲げる不正競争(営業秘密を取得する行為に限る。)があった場合において、その行為をした者が当該技術上の秘密を使用する行為により生ずる物の生産その他技術上の秘密を使用したことが明らかな行為として政令で定める行為(以下この条において「生産等」という。)をしたときは、その者は、それぞれ当該各号に掲げる不正競争(営業秘密を使用する行為に限る。)として生産等をしたものと推定する。
2項 技術上の秘密を取得した後にその技術上の秘密について営業秘密不正取得行為が介在したことを知って、又は重大な過失により知らないで、その技術上の秘密に係る技術秘密記録媒体等(技術上の秘密が記載され、又は記録された文書、図画又は記録媒体をいう。以下この条において同じ。)、その技術上の秘密が化体された物件又は当該技術秘密記録媒体等に係る送信元識別符号(自動公衆送信(公衆によって直接受信されることを目的として公衆からの求めに応じ自動的に送信を行うことをいい、放送又は有線放送に該当するものを除く。)の送信元を識別するための文字、番号、記号その他の符号をいう。第4項において同じ。)を保有する行為があった場合において、その行為をした者が生産等をしたときは、その者は、第2条第1項第6号に掲げる不正競争(営業秘密を使用する行為に限る。)として生産等をしたものと推定する。
3項 技術上の秘密をその保有者から示された後に、不正の利益を得る目的で、又は当該技術上の秘密の保有者に損害を加える目的で、当該技術上の秘密の管理に係る任務に違反して、次に掲げる方法でその技術上の秘密を領得する行為があった場合において、その行為をした者が生産等をしたときは、その者は、第2条第1項第7号に掲げる不正競争(営業秘密を使用する行為に限る。)として生産等をしたものと推定する。
一 技術秘密記録媒体等又は技術上の秘密が化体された物件を横領すること。
二 技術秘密記録媒体等の記載若しくは記録について、又は技術上の秘密が化体された物件について、その複製を作成すること。
三 技術秘密記録媒体等の記載又は記録であって、消去すべきものを消去せず、かつ、当該記載又は記録を消去したように仮装すること。
4項 技術上の秘密を取得した後にその技術上の秘密について営業秘密不正開示行為があったこと若しくは営業秘密不正開示行為が介在したことを知って、又は重大な過失により知らないで、その技術上の秘密に係る技術秘密記録媒体等、その技術上の秘密が化体された物件又は当該技術秘密記録媒体等に係る送信元識別符号を保有する行為があった場合において、その行為をした者が生産等をしたときは、その者は、第2条第1項第9号に掲げる不正競争(営業秘密を使用する行為に限る。)として生産等をしたものと推定する。

不正開示類型(7号)と改正後の不正競争防止法第5条の2

(1)正当に営業秘密を取得したが、その後に不正な目的で、その営業秘密を使用すること、又は開示することは不正競争にあたり違法となる(不正競争防止法2条1項7号)。

(2)上記の場合に、同3項に掲げる行為(営業秘密を領得する行為)があった場合には、第2条第1項第7号に掲げる不正競争(営業秘密の不正使用)をして生産等をしたものと推定する(不正競争防止法第5条の2の3項)。

改正後の条文

不正競争防止法第5条の2
3項 技術上の秘密をその保有者から示された後に、不正の利益を得る目的で、又は当該技術上の秘密の保有者に損害を加える目的で、当該技術上の秘密の管理に係る任務に違反して、次に掲げる方法でその技術上の秘密を領得する行為があった場合において、その行為をした者が生産等をしたときは、その者は、第2条第2項第7号に掲げる不正競争(営業秘密を使用する行為に限る。)として生産等をしたものと推定する。 一 技術秘密記録媒体等又は技術上の秘密が化体された物件を横領すること。 二 技術秘密記録媒体等の記載若しくは記録について、又は技術上の秘密が化体された物件について、その複製を作成すること。 三 技術秘密記録媒体等の記載又は記録であって、消去すべきものを消去せず、かつ、当該記載又は記録を消去したように仮装すること。

取得時善意無過失の転倒者類型(6号)と、改正後の不正競争防止法第5条の2

(1)営業秘密の取得後に、不正取得行為が介在したこと(取得者が営業秘密を取得するまでの一連の流通過程におけるいずれかの段階において、不正な手段により営業秘密を取得すること行為があったこと)を知ってもしくは重大な過失により知らないで、営業秘密を使用し、又は開示することは不正競争にあたり違法となる(不正競争防止法2条1項6号)。

(2)上記の場合に、営業秘密が入ったUSB等の(記録媒体)を保有したり、営業秘密を保管するサーバーのリンク等(送信元識別符号)を保有したりした場合には、第2条第1項第6号に掲げる不正競争(営業秘密の不正使用)をして生産等をしたものと推定する(不正競争防止法5条の2の2項)。

改正後の条文

不正競争防止法第5条の2
2項 技術上の秘密を取得した後にその技術上の秘密について営業秘密不正取得行為が介在したことを知って、又は重大な過失により知らないで、その技術上の秘密に係る技術秘密記録媒体等(技術上の秘密が記載され、又は記録された文書、図画又は記録媒体をいう。以下この条において同じ。)、その技術上の秘密が化体された物件又は当該技術秘密記録媒体等に係る送信元識別符号(自動公衆送信(公衆によって直接受信されることを目的として公衆からの求めに応じ自動的に送信を行うことをいい、放送又は有線放送に該当するものを除く。)の送信元を識別するための文字、番号、記号その他の符号をいう。第4項において同じ。)を保有する行為があった場合において、その行為をした者が生産等をしたときは、その者は、第2条第1項第6号に掲げる不正競争(営業秘密を使用する行為に限る。)として生産等をしたものと推定する。

取得時善意無過失の転倒者類型(7号)改正後の不正競争防止法第5条の2

(1)営業秘密の取得後に、営業秘密について不正開示行為が存在したこと(守秘義務に反して営業秘密が流出されたものであること)を知ってもしくは重大な過失により知らないで、営業秘密を使用すること、もしくはこれを開示することは不正競争にあたり違法となる(不正競争防止法2条1項9号)。

(2)上記の場合に、営業秘密が入ったUSB等の(記録媒体)を保有したり、営業秘密を保管するサーバーのリンク等(送信元識別符号)を保有したりした場合には、第2条第1項第9号に掲げる不正競争(営業秘密の不正使用)をして生産等をしたものと推定する(不正競争防止法5条の2の4項)。

改正後の条文

不正競争防止法第5条の2
4項 技術上の秘密を取得した後にその技術上の秘密について営業秘密不正開示行為があったこと若しくは営業秘密不正開示行為が介在したことを知って、又は重大な過失により知らないで、その技術上の秘密に係る技術秘密記録媒体等、その技術上の秘密が化体された物件又は当該技術秘密記録媒体等に係る送信元識別符号を保有する行為があった場合において、その行為をした者が生産等をしたときは、その者は、第2条第1項第9号に掲げる不正競争(営業秘密を使用する行為に限る。)として生産等をしたものと推定する。
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