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保証の一般的な知識

2024/05/24 更新

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保証

保証契約について教えてください。

「Aさんがお金を返さなければ、Bさんが同額を支払って下さい。」

これを一般的には保証契約といいます。

保証(単純保証)

保証(単純保証)は、「連帯保証」と書かれていない保証と理解してよいでしょう。

連帯保証

連帯保証は、「連帯保証」と書かれている保証です。

保証(単純保証)と連帯保証の違い

1 催告の抗弁

(1)保証(単純保証)の場合、債権者が保証人に保証債務の履行を請求してきたときに、「まずは、主たる債務者(例えば、お金を借りた本人)に催告をしてほしい。催告をしていないのであれば、保証人(私)に請求できない。」という権利があります。

本来的には、主たる債務者(例えば、お金を借りた本人)が返済するのが原則だからです。

(2)しかし、連帯保証の場合には、このようなことをいう権利はありません。

(3)なお、催告の抗弁については、債権者は主たる債務者(例えば、お金を借りた本人)に「お金を返せ。」と請求した事実があれば足り、主たる債務者(例えば、お金を借りた本人)に対する訴訟を提起しなければならないわけではないので、実効性のあるものではありません。

2 搜索の抗弁

(1)保証(単純保証)の場合、債権者が保証人の財産に強制執行をしてきたときに、「主たる債務者(例えば、お金を借りた本人)に催告をしてほしい。催告をしていないのであれば、保証人(私)に請求できない。」という権利があります。本来的には、主たる債務者(例えば、お金を借りた本人)が返済するのが原則だからです。

(2)しかし、連帯保証の場合には、このようなことをいう権利はありません

(3)なお、搜索の抗弁についても、主たる債務者(例えば、お金を借りた本人)に十分なお金があることは少なく、実効性のあるものではありません。

3 分割の利益

(1)複数の保証人がいる場合を共同保証といいます。

例えば、「100万円の借金が未払いであるとして、保証人が2人いる。」とします。保証(単純保証)の場合、「各保証人が全額を弁済する」旨の特約(保証連帯(民法465条1項))がない限り、保証債務の支払額は保証人の人数で割ることになります(単純保証では50万円しか負担する義務はありません。)。

(2)しかし、連帯保証の場合には、このようなことをいう権利はありません。

例えば、「100万円の借金が未払いであるとして、保証人(単純保証人)と、連帯保証人の二人の保証人がいるとします。

債権者は、保証人(単純保証人)に対しては、「各保証人が全額を弁済する」旨の特約(保証連帯)がない限り、(人数割りした)50万円しか請求できません。これに対して、債権者は、連帯保証人に対しては、100万円をそのまま請求できます

(3)保証(単純保証)の場合、「各保証人が全額を弁済する」旨の特約(保証連帯(民法465条1項))がない限り、負担額を超えて弁済したしたときには、保証人(単純保証人)は、主たる債権者(お金を貸した人)に「不当利得としてその額を返せ。」と請求できます。

(令和4年5月19日札幌高判 判例タイムス1516号125頁)

民法
第452条 催告の抗弁 

債権者が保証人に債務の履行を請求したときは、保証人は、まず主たる債務者に催告をすべき旨を請求することができる。ただし、主たる債務者が破産手続開始の決定を受けたとき、又はその行方が知れないときは、この限りでない。


第453条 検索の抗弁

債権者が前条の規定に従い主たる債務者に催告をした後であっても、保証人が主たる債務者に弁済をする資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、債権者は、まず主たる債務者の財産について執行をしなければならない。


第454条 連帯保証の場合の特則

保証人は、主たる債務者と連帯して債務を負担したときは、前二条の権利を有しない。


第455条 催告の抗弁及び検索の抗弁の効果

第452条又は第453条の規定により保証人の請求又は証明があったにもかかわらず、債権者が催告又は執行をすることを怠ったために主たる債務者から全部の弁済を得られなかったときは、保証人は、債権者が直ちに催告又は執行をすれば弁済を得ることができた限度において、その義務を免れる。


第456条 数人の保証人がある場合

数人の保証人がある場合には、それらの保証人が各別の行為により債務を負担したときであっても、第427条の規定を適用する。


第465条 共同保証人間の求償権 

1項 
第442条から第444条までの規定は、数人の保証人がある場合において、そのうちの一人の保証人が、主たる債務が不可分であるため又は各保証人が全額を弁済すべき旨の特約があるため、その全額又は自己の負担部分を超える額を弁済したときについて準用する。

2項 
第462条の規定は、前項に規定する場合を除き、互いに連帯しない保証人の一人が全額又は自己の負担部分を超える額を弁済したときについて準用する

保証(単純保証)でも、連帯保証でも使える権利

連帯保証人が主張できる権利はないのでしょうか…

連帯保証人にも、以下の権利は単純保証の場合と同等に与えられています。

1 付従性

(1)保証人は、主たる債務者(例えば、お金を借りた本人)の代わりに支払い義務を負うものです。

したがって、主たる債務者(例えば、お金を借りた本人)が支払を拒否する理由がある場合には、保証人も支払い義務を負いません。

(2)例えば、借金が時効で消滅した場合には、保証人の保証債務が消滅します。

例えば、商品に欠陥があり、代金の一部を減額できる場合には、保証人もその分の保証債務が減額します。

2 情報提供義務

保証人は、主たる債権者(お金を貸した人)に対し、主たる債務者(例えば、お金を借りた本人)の返済状況等を知らせよ、と請求できます(民法458条の2)。

民法
第458条の2 主たる債務の履行状況に関する情報の提供義務

保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、保証人の請求があったときは、債権者は、保証人に対し、遅滞なく、主たる債務の元本及び主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのものについての不履行の有無並びにこれらの残額及びそのうち弁済期が到来しているものの額に関する情報を提供しなければならない。
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