判例(ペットが寄生虫に感染しており、入院代の費用が余分に必要になった。販売時には、ペットが寄生虫に感染していたとしても、ペット業者が環境省令の基準を順守し、外形上健康状態に問題が認められなかったのであればペットの病気について、契約不適合責任が認められない。)
2025/10/01 更新
このページを印刷令和5年12月5日東京地裁
(1) 業者によるペットの販売について、 動物の健康及び安全の保持 等に関する事項を定める動物愛護法及びこれに基 づく環境省令の規定があります。
(2)動物愛護法21条1項は、動物の販売業者その他の第一種動物取扱業者は、動物の健康及び安全を保持するとともに、生活環境の保全上の支障が生ずることを防止するため、その取り扱う動物の管理の方法等に関し環境省令で定める基準を遵守しなければならないと規定する。
そして、 第一種 動物取扱業者及び第二種動物取扱業者が取り扱う動物の管理の方法等の基準を定める省令(ただ し、令和4年環境省令第16号による改正前のもの)2条は、上記の規定を受けて、 第一種動物取扱業者のうち販売業者は、①販売する動物の疾病の予防、寄生虫の寄生の予防又は駆除等の日常的な健康管理を行い(4号口)、②当該動物が疾病にかかった場合には速やかに必要な処置を行わなければならず(4号へ)、③2日間以上その状態(下痢、おう吐、四肢の麻痺等外形上明らかなものに限る。)を目視によって観察し、健康上の問題があることが認められなかった動物を販売に供しなければならない(7号)旨を規定する。
(3)そうすると、本件売買契約が締結された当時の販売業者が、たとえ寄生虫に感染している動物を販売したとしても、上記①~③を遵守し、外形上健康状態に問題が認められなかったのであれば、取引上の社会通念に適合する品質 (健康状態)を備えていない動物を販売したものとまではいい難い、つまり、販売業者(売主)に責任はない、としました。
令和5年12月5日東京地裁
判例タイムズ1525号193頁