判例(他人の名誉を侵害する内容のイラストの投稿と、この投稿を人の社会的名誉を低下させる記事をツイートすれば不法行為が成立する)
2024/08/12 更新
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(1)XはAから性被害にあった。
XはAを民事訴訟で訴えて、裁判所は性被害を認めてXの請求を認めた。
(2)上記訴訟で裁判所が性被害を認めた後、漫画家のY1は、Aの主張を前提に、性被害が虚偽であることを前提とした風刺画(イラスト)を作って、SNSに投稿した。
(3)Y2は、Y1の投稿について、コメントを付けずにツイートした。
(4)なお、Y1は、自分の投稿は風刺画であるから、Aの主張を分かりやすく表現したものであるから、Xの社会的評価を下げるものでない、と主張した。
判決
(1)その風刺画は「Aの性被害は虚偽である」旨を表現するものであると読めるあり、かつ、Y1の投稿は多数の読者に閲覧されて拡散していることから、Xの社会的名誉を低下させる行為であるから、名誉毀損を理由とする損害賠償請求が成立する。
(2)Y2は、Y1の投稿についてコメントを付けずにツイートしているが、Y2のその他の言動をあわせて考慮すれば、そのY1の投稿内容に賛同する旨のY2の意思を示す表現行為であるとして、名誉毀損を理由とする損害賠償請求が成立する。
令和4年11月10日東京高裁
参考
判例タイムズ1521号81頁
解説
(1)本件の風刺画については、中立的な立場で事実を表現したものとは読める内容でなく、名誉毀損行為にあたる、と認定されました。
(2)ツイッターというSNSでは、他人の記事をツイートすれば、自分のフォロワーにもその記事をそのまま見せることになります。
(3)確かに、「ある人の名誉を侵害する」ような記事について、「この記事については賛同できない。」と意見を付けてツイートした場合には、その人の社会的評価を低下させる行為ではないでしょう。しかし、通常、何らコメントをつけずに、「ある人の名誉を侵害する」ような記事について、コメントせずにツイート(拡散)させた場合には、その投稿内容に賛同する意思を示すものであり、名誉毀損行為にあたる、と認定されることになるでしょう。