判例(自損事故について、契約者の故意によって生じたものとして、人身傷害保険も車両保険も支給されなかった事案)
2025/08/08 更新
このページを印刷保険事故と契約者の故意
(1)自損事故とは、運転者が単独で起こした事故のことで、相手方がいない事故のことです。
例えば、運転者が車の運転を誤って電柱等にぶつけた事故等がこれにあたります。
(2)自損事故の場合には、相手方がいないために、契約者が故意に事故を起こすことがありえます。
(3)この場合は、人身傷害保険における「偶然の事故」であることが否定され、車両保険については、「契約者の故意」という免責事項に該当することになります。
札幌高判令和6年12月6日
以下の事情がある自損事故について、、運転者が単独で起こした事故のことで、「偶然の事故」ではないとして、人身傷害保険の支給が否定され、契約者の故意によって生じたものとして、車両保険の支給も否定されました。
①本件事故が本件車両の車検期間満了日前日であったのに、車検の具体的な手配をしていなかったこと
②運転者が本件車両の使用状況両位置の変化に気付かず、接触しても直ちに回避措置を取っていないこと
④運転者が運転中に助手席の携帯電話を取ろうとしたという運転者の証言が不自然であること
⑤契約者(運転者)は、事故歴や保険請求歴について虚偽の説明をしたこと
札幌高判令和6年12月6日
判例タイムズ1533号50頁