Q (不動産の取引に関し)94条2項の類推適用について教えて下さい。
2025/11/17 更新
このページを印刷登記と無権利者
(1)Aさんが所有しているとの登記を信用したとたとしても、そのAさんが無権利者である場合、Aさんからその不動産をゆすり受けたBさんは所有権を取得できません。
(2)なお、表見代理、94条2項類推、取得時効が成立する場合を除きます。
94条2項の類推適用
(1)前主名義の登記があるが無権利であった。しかし、真の権利者がその登記に関与した、または存続させた場合には民法94条2項が適用されて、その登記を信じて取引した者は保護されるべきである。
(2)これが94条2項の類推適用です。
94条2項の類推適用の要件事実
①虚偽の登記があること
②①の存在について、権利者が通謀と同視できる程度の帰責性があること
③自分が第三者にあたること
④自分が善意であること(虚偽の登記であるとは知らなかったこと)
参考
岡口基一「要件事実マニュアル(第7版)第1巻 総論・民法1」211頁
最判昭和29年8月20日民集8巻8号1505頁
真の権利者はAだったが、登記がB名義になっている(虚偽の登記がある)ことを放置し、または、承認していた場合には、その登記を信じて取引した第三者は民法94条2項の類推で保護される。
94条2項と110条の類推適用(意思外形非対応型)
(1)権利者が承認していた範囲を超えて、虚偽の登記がされた場合には、94条2項と110条の類推適用(意思外形非対応型)される。
(2)110条が適用されることから、無過失(虚偽の登記であると気が付かなかったことに過失がないこと)が必要となる。
平成18年2月23日民集60巻2号546頁
真の権利者Aは売買する意図もないが、Bにいあれるまま、登記申請書、契約書に署名し、印鑑証明を渡した。Aはこれを使ってB名義の登記をした。その登記を信じて取引した第三者94条2項と110条の類推適用で保護される。なお、110条が適用されることから、無過失が必要となる。






