判例(職務限定の合意がある場合に、当該職種が廃止されたときであっても、同人の意思に反して異動を命じれば、違法となる。)
2026/02/01 更新
職務限定の合意
(1)雇用条件通知書には、職務限定の合意が無くても、医師、看護師、運転手など、特殊の技能が必要な職種について採用時にこれらの技能を持つことを前提に採用した場合には、明示又は黙字の職種限定の合意が成立します
職務限定の合意と異動命令
(1) 職務限定の合意がある場合に、当該職種が廃止されたときであっても、同人の意思に反して異動を命じれば、違法となります(労働契約法8条)。
(2)異動を命じることは違法になるので、当該職種が廃止される場合には整理解雇するしかなくなります。そして、整理解雇するには、①人員削減の必要性、②解雇回避義務の履行、③解雇者選定の妥当性、④手続の妥当性が要求されます。
(3)②として、労働者に適切な配置転換を提案することが必要となります。(判例タイムズ1523号80頁の解説)
最判令和6年4月26日
(1)職務限定の合意がある場合に、当該職種が廃止されたときであっても、同人の意思に反して異動を命じれば、違法となる。
(2)本件で、異動を命じたことが不法行為を構成するかは、控訴審で再度審理すべき、と判断した。
最判令和6年4月26日
判例タイムズ1523号80頁
大阪高判令和7年1月23日
(1)上記の最判が、控訴審での再度審理すべきと判断し、その判断を示したのが本件控訴審である。
(2)Xは、技術系の資格を数多く融資、中でも溶接ができることを見込まれて採用され、入社後も福祉用具の改造及び制作等の業務を行ってきたこと等から、職務限定の合意があるとしました。
(3)Yは、事前に、Xが従事してきた業務を行う技術職を廃止することを説明したり、他の業種に変更することの同意を得ようとしたりするなど、配転命令を回避する義務を行ったことは不法行為を構成する。
(4)Xは長年従事してきた職種から他の職種へと変更を余儀なくされており、その損害として慰謝料80万円、弁護士88円の合計88万円を認めました。
大阪高判令和7年1月23日
判例タイムズ1539号19頁






