Q 財産開示期日不出頭罪について教えて下さい。
2025/11/22 更新
このページを印刷財産開示請求
(1)財産開示請求をするには、「AはBに対し〇円支払え」という判決、裁判所上の和解、公正証書が必要です。
(2)財産開示請求は、裁判所を通じて「あなたの財産のリストを出せ。」と要求する手続きです。
具体的には、事前に財産のリストを出し、裁判所に出向き、本当に財産がないのか、質問に回答する必要があります。
財産開示についての不当な拒否
相手方が期日に出頭しなかったり、期日で虚偽の供述をしたりすれば、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金がかされます。
財産開示期日不出頭罪
(1)相手方が期日に出頭しなかった場合には、刑事罰が科されます。これが、財産開示期日不出頭罪です。
(2)同罪の成立要件として、①財産開示期日に出頭しなかったこと、②不出頭に正当な理由がないこと、③不出頭の故意が必要です。
(3)②の正当理由としては、結婚式、葬式などで出席できなかった場合、交通機関が故障した場合、召喚の事実を知らなかった場合、開示義務者の入院していた場合などがあります」。
(4)③不出頭の故意としては、財産開始期日の日時を知っていたことが必要で、その日時について失念していた場合には、本人の責任であっても故意を欠くことになります。
捜査の端緒
(1)基本的には、財産開示手続をした債権者の告発が捜査の端緒となるとされています。
(2)つまりは、債権者が、債務者に対する財産開示期日不出頭罪の刑事罰を望む場合には、債権者の告発をすることが必要となります。
財産開示期日不出頭罪の処罰のポイント
実例1
被疑者(債務者)の妻が裁判所からの書類を受け取った場合に、被疑者(債務者)がその書類を介して内容を確認したのが財産開示期日語であったという弁解をした場合に、嫌疑不十分となった事案があります。
実例2
被疑者(債務者)が裁判所からの財産開示期日の呼出し状を受け取った場合に、被疑者(債務者)が内容を誤解して、財産開示期日に出頭しなかった事案で、他の事情もあって、起訴(略式起訴)されました。
日程を間違えたのであれば、故意を欠くことになります。逆に、行かなくてよいと勘違いしたのであれば、法律の錯誤に過ぎず、故意を欠くものではありません。
ポイント
(1)財産開示期日不出頭罪については、不出頭の故意の認定が問題となり、裁判所の送達書類を誰が受け取ったのか、被疑者方での書類の保管状況が問題となり、被疑者方の捜索差押えが積極的に行われているそうです。
(2)債権者の立場で、債務者に対する財産開示期日不出頭罪の刑事罰を望む場合には、「債務者が、財産開始期日の日時を知っていたこと」が必要であり、これを立証する証拠を事前に確保しておくことが重要です。
(3)財産開示期日に、債権者が債務者に電話したり、訪問したりして、その録音をしておくが重要かもしれません。
参考
捜査研究2025年11月号2頁






