ご質問・ご相談などお気軽にお問い合わせください。

TEL 06-6773-9114

FAX 06-6773-9115

受付時間 : 平日10:00 ~18:00 土日祝除く

メールでの
お問い合わせ

労使紛争

【有期雇用】有期雇用

2024/02/10 更新

(1)有期雇用とは、3か月~1年間等一定期間に限り雇用する期限付きの雇用契約であります。

(2)有期雇用の場合には、会社が合わないと判断すれば期間満了で雇用契約を解消できる、とのメリットがあります。
(3)しかし、以下の点で注意が必要です。

求人での注意点

(1)ハローワーク等で一般募集をする場合、新入社員は他社の労働条件と見比べて就職先を選ぶことになります。新入社員からすれば、「期間雇用・アルバイト・パート」は印象が悪く、正社員を希望するが正社員として採用してもらえなかった人材が集まってくる可能性があります。

(2)なお、知人の紹介で人を採用する場合には、はじめの3か月を有期用に雇用にすることについては従業員から反発を受けることはありません。縁故採用の場合には有期雇用であることをしっかりと説明すべきでしょう。

労働条件通知書の更新(契約更新)

 有期雇用の期間を超えて雇用し続けて、労働条件通知書の更新(契約更改)をしなければ契約が同一の条件をもって更新されたとみなされ(民法629条1項)、期間の定めのない契約に変更されてしまいます(通説)。

無期転換

(1)何度も更新を繰り返した場合や、更新するとの期待を生じさせた場合には、有期雇用は期限の定めのない無期雇用と同様の扱いとなります(労働契約法19条)。

(2)更新を繰り返し、契約期間が通算して5年を超えると、有期雇用は期限の定めのない無期雇用と同様の扱いとなります(労働契約法18条)。

(3)5年も通算して働いてもらっている社員ですので、期間の定めのない労働条件に変わったとしても企業にとって大きな不利益はありません。しかし、有期雇用であっても労働条件通知書に定年制を設けておく必要があります。(そうしなければ、定年制もなく期限の定めもない雇用契約となってしまう。)

求人、採用時の注意点

(1)「求人票記載の労働条件は、当事者間においてこれと異なる別段の合意がない限り、雇用契約の内容となる。」との判例もあります(京都地裁 平成29年3月30日 労判1164号44頁 福祉事業者A苑事件)。
 「無期雇用を希望する者を募集する、との求人を出しながら、有期雇用で採用する。」場合には、少なくとも、なぜ、「今回の雇用契約が有期雇用であること」「求人と違う有期雇用の雇用契約を提案する合理的理由」を説明することが必要でしょう。説明したことを立証するためには、これらを分かりやすく書いた書面を用意し、従業員に署名をもらう必要があるでしょう。

(2)有期雇用の契約時に、「期間満了後も更新して雇用する予定である。」と説明した場合には、契約更新について合理的な期待が発生してしまうので、期間満了により労働契約を終了させるには、これを終了させる合理的な理由が必要になります(労働契約法19条2項)。

(3)したがって、上記のような誤解が生じるやりとりは避けなければなりません。

神戸弘陵学園事件(最判平成 2 年 6 月 5 日 民集44巻4号668頁)

(1)「正従業員採用する前に、3か月間だけ有期雇用にする。不適合者については3か月目で雇止めする。」という運用をする会社もあります。しかし、以下の判例について注意が必要です。

(2)神戸弘陵学園事件(最判平成 2 年 6 月 5 日民集44巻4号668頁)は、 新規採用においてその適性を評価するための期間として期限付の雇用契約を締結した場合には、その期間は契約の存続期間ではなく、試用期間であるとした判例です。では、どのような事情があれば、「労働者の適性を評価するための期間である」と認定されるでしょうか。

(3)ほとんどの社員について契約更新しているのに、不出来の社員についてのみ契約更新を拒否している場合には、試用期間であると認定される可能性があります。

(4)売上の上下が激しく来期の仕事があるか不明な場合や、繁忙式の一時的な仕事の募集の場合など、仕事・業務の性質によって一時的に人を雇う場合には、雇用期間であると認定される方向に働くでしょう。

(5)「3か月~1年間等一定期間に限り雇用する。」旨の雇用契約を締結しているからといって安心できませんが、会社の立場からすれば、有期雇用は「期間の満了を理由として雇用契約が終了したと主張できる」有力な交渉材料となります。リスクを知りながらも、有効活用していくべきです。

「労使紛争」トップに戻る

Contact.お問い合わせ

    ※個人情報の取り扱いについては、プライバシーポリシーをご覧ください。