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労使紛争

判例(くも膜下出血によって公務員が死亡し、同人の労働環境について安全配慮義務違反があるかどうか問題となりました。厚生労働省等の労災認定基準を基準として判断され、最終的には安全配慮義務違反が否定された。)

2025/10/29 更新

判決

(1)くも膜下出血によって公務員が死亡しました。
(2)同人の遺族が、市に対し、「同人の労働環境か過酷であった。同人に対する労働環境については安全配慮義務違反がある。」として、損害賠償請求をしました。
(3)裁判所は、同人の労働時間等について、厚生労働省等の労災認定基準と比べたうえで、安全配慮義務違反がないと判断しました。

福岡地判令和7年1月14日

判例タイムズ1536号198頁

解説

(1)公務員のくも膜下出血等については、脳・心臓疾患についての労災認定基準があります。
(2)心・血管疾患及び脳血管疾患の発生機序等に関する標準的な医学的知見が反映されている基金策定の平成13年12月12日付け地基補第239号「心・血管疾患及び脳血管疾患の公務上災害の認定について」では、以下のようにいわれています。
 同基準では、量的過重性が認められる場合として、①発症前1週間程度から数週間程度にわたる、いわゆる不眠不休又はそれに準ずる勤務、②発症前1か月程度にわたる週当たり平均25時間程度以上の時間外勤務の連続、③発症前1か月を超える週当たり平均20時間程度以上の時間外勤務の連続等を挙げています。
(3)また、厚生労働省策定の令和3年9月14日付け基発0914第1号 「血管病変等を著しく増悪させる業務による脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準」では、以下のようにいわれています。
 同基準は、業務と発症との関連性が強いと評価できる場合として、①発症前1か月間におおむね100時間の時間外勤務、②発症前2~6か月間にわたる月当たりおおむね80時間を超える時間外勤務を挙げています。

(4)本判決は、くも膜下出血の発症及び死亡について、安全配慮義務違反があるかどうかについて、上記の基準に該当するかで判断するという枠組みを採用したものとなります。

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