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労使紛争

判例(安全配慮義務の一例として、難しい仕事を依頼する場合には、仕事の進捗を確認して適切な指導を行うか、質問しやすい環境を作る義務があることを認めた。)

2023/09/28 更新

安全配慮義務違反

(1)使用者は、従業員が職場で働くことに関し、従業員の生命、健康を守る義務を負います。これを安全配慮義務といいます。
(2)安全配慮義務違反の例としては、長時間、いじめ、パワハラ等がありえます。

事案

(1)本件職員は、採用後18年目の中堅職員であった。
(2)しかし、本件職員に任された業務は、本件職員が単独で行うことは能力・経験的に難しい業務であった。
(3)本職員の上司(係長)は、本件職員を含む部下に厳しい対応をする傾向があった。
(4)職場は、職員同士の会話がなく、仕事について質問できる相手もいなかった。
(5)本件職員は、物静かでおとなしく、悩みを他人に相談する性格でもなかった。
(5)本件職員は、4月末に終わらせるべき仕事を終わらせることができておらず、5月の連休明けに上司(係長)から、叱責されることを恐れて、精神的に追い詰められて自殺した。

本判決

(1) 本判決は、本職員の上司(係長)について、仕事の進捗を確認して適切な指導を行うか、質問しやすい環境を作る義務(安全配慮義務)の違反を認めました。
(2) 本判決は、本件職員が自らの努力で解決できる面もあったとして、5割の過失も認めました。


令和4年11月24日 新潟地方裁判所 
判例タイムズ1511号219頁以下

解説

(1)本職員の仕事は、本職員が単独で行うには難しい仕事でした。
(2)本職員の上司(係長)は、本件職員を含む部下に厳しい対応をする傾向がありました。
(3)本件職場では、職員同士の会話がなく、仕事について質問できる相手もいない状態でした。
(4)これらの事情が考慮され、難しい仕事を依頼する場合には、仕事の進捗を確認して適切な指導を行うか、質問しやすい環境を作る義務(安全配慮義務)の違反を認めました。
(5)安全配慮義務違反の例としては、長時間、いじめ、パワハラだけでなく、「難しい仕事を依頼する場合には、仕事の進捗を確認して適切な指導を行うか、質問しやすい環境を作る義務がある」ことを認めた判例です。

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