判例(業務中に、同僚から暴行を受けて負傷したところ、その傷害について、業務起因性が認められた。)
2025/10/29 更新
名古屋地判令和6年9月11日
1 概要
(1)業務中に、同僚から暴行を受けて負傷した。
(2)本件労働者が、療養補償給付及び休業補償給付の支給を請求した。
(3)労働基準監督署は、不支給の決定をした。本件労働者が不支給の決定の取消訴訟を提起した。
2 通達
通達(平成21年7月23日付け基発0723第12号都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局長通知)では、業務と他人の故意に基づく暴行による負傷との間の相当因果関係の判断について、「業務に従事している場合又は通勤途上である場合において被った負傷であって、他人の故意に基づく暴行によるものについては、当該故意が私的怨恨に基づくもの、自招行為によるものその他明らかに業務に起因しないものを除き、業務に起因する又は通勤によるものと推定する」とされている。
3 本判決の判断
(1)本件労働者が、業務に関係ないことで、同僚を侮辱したことは発端で、暴行事件になったかどうか、が争点となっていた。
(2)判決では、業務中に同僚から暴行を受けて負傷したこと、業務指示に従うかどうかが発端になって、暴行事件に発展したと認定した。
(3)判決は、業務中に同僚から暴行を受けて負傷したこと、当該暴行が私的怨恨に基づくものではなく、かつ、自招行為によるものでもないことを確認して、業務起因性を認めた。
名古屋地裁令和6年9月11日
判例タイムズ1536号206頁
解説
判決は、「業務中に、同僚から暴行を受けて負傷したところ、その傷害について、業務起因性が認めらるか。」という問題について、通達に基づいて判断したものとなります。






