判例(正規、非正規の格差是正を目的とする、賃金減少を伴う就業規則の変更を有効と判断した。)
2025/10/19 更新
山口地判令和5年5月24日
山口地判令和5年5月24日は、正規、非正規の格差是正を目的とする、賃金減少を伴う就業規則の変更について、以下の事情から有効と判断しました。
(1)変更前と変更後の総人件費は大きく変わらない。
変更前の1年間 46億8812万円
変更後の1年間 46億2962万円
(2)変更の目的が、正規、非正規の格差是正と、女性や若年労働者の雇用確保であり正当なものであった。
(3)(妻が専業主婦となり、妻を扶養するための生活費を支給する、古い家族像を前提とする)扶養手当を廃止し、(子どもを育てながら働く女性を前提とする)子ども手当や保育手当に振り替えた。
(4)持ち家は個人の資産です。その個人の資産について手当を出す住宅手当は、自宅の修繕費の補助だと考えられます。持ち家補助的な性格でした。これを、若者の採用を目的に、賃貸住宅の家賃を補助を厚くするものに変更しました。
変更内容と目的に密接な関連性があります。
(5)これらの変更によって、年収の減額になる従業員もいるが、それは高くても、5%未満であった。
(5)雇用主のY法人は、組合に変更の目的や内容を説明し、実施時期を延期して組合と交渉し、その過程で変更内容を一部変更している。雇用主は、組合ともしっかりと交渉をしている。
以上を考慮した上で、上記判決は、賃金減少を伴う就業規則の変更について、以下の事情から有効と判断しました。
山口地判令和5年5月24日
| 控訴審の広島高等裁判所令和5年12月22日判決も結論は同じで、最高裁判所へ上告受理申立てがなされたが、不受理となり確定している。 |
ビジネスガイド2024年9月号96頁以下
ビジネスガイド2025年11月号68頁以下






