判例(職務限定合意が認められる場合に、その業務を行う事業部門が廃止された場合、別の部署への移動や十分な退職金の提案をした後に解雇すれれば、整理解雇としての要件を満たす。)
2026/01/22 更新
東京地方裁判所令和6年9月20日
事案
(1)平成24年、Xは、円金利ストラテジ業務(日本銀行の金融政策、マクロ経済動向、財務省の国債発行計画などを分析し、円債券(国債)や円金利デリバティブ市場から、における投資情報を分析する仕事)をしていた。
(2)令和5年度のXの年収は、3000万円でした。
(3)Y会社は、会社内のグループで金利リサーチ業務が重複していたことから、同業務を廃止し、Xの業務が無くなることとなりました。
(4)Y会社は、Xに最大年収2000万円の為替セールス業務に配置転換するか、退職金約4602万円を受取るかどうかの提案をしました。
(5)Xは、職務内容が大きく異なり、退職金も十分でないとして、いずれも断りました。
(6)令和5年6月、Y会社はXを整理解雇しました。
判決
1 職務限定の合意の有無
Xが前職でも、円金利ストラテジ業務(日本銀行の金融政策、マクロ経済動向、財務省の国債発行計画などを分析し、円債券(国債)や円金利デリバティブ市場から、における投資情報を分析する仕事)をしていた。Y社はその知識を評価して年棒2000万円を超える賃金を支払っていたこと、Xが職務の合意があるから、別の職種への配置転換を断ったこと等を考慮すると、職務限定の合意を認められる。
2 整理解雇
(1)会社内のグループで金利リサーチ業務が重複していたことから、同業務を廃止し、Xの業務が無くなることとなったことによる解雇は整理解雇にあたるから、整理解雇4用件を満たす必要があります。
(2)事業廃止による必要性を認め、Y会社は、Xに最大年収2000万円の為替セールス業務に配置転換するか、退職金約4602万円を受取るかどうかの提案をしたこととうにより解雇回避義務を果たしているとして、解雇を認めました。
解説
1 職務限定の合意
(1)最判令和6年4月26日(判例タイムズ1523号80頁)によれば、 職務限定の合意が成立する場合には、労働者の個別の同意がなければ、同合意に反する異動命令は違法ととなるのが原則です(労働契約法8条)。
(2)したがって、職務限定の合意がある場合に、異動を命じることはできません。
2 整理解雇
(1)職務限定合意が認められる場合に、その業務を行う事業部門が廃止されることは整理解雇の一種となり、①人員削減の必要性、②解雇回避義務の履行、③解雇者選定の妥当性、④手続の妥当性が要求されます。
(2)また、②として、労働者に適切な配置転換を打診しているかも問題になります。(判例タイムズ1523号80頁の解説)
(3)したがって、本件でも、別の部署への移動を提案したことは、解雇回避努力義務としては肯定的に評価されています。
参考
ビジネスガイド2026年2月号80頁






