Q 無期のフルタイム労働者の労働条件が様々である場合、パート・有期労働者と比較の対象となる無期のフルタイム労働者をどのように決めるのか。
2025/10/18 更新
問題点
パート・有期労働者が「無期のフルタイム労働者との間に不合理な待遇差が存在する」として、会社を訴えたとします。
無期のフルタイム労働者の労働条件が様々である場合、パート・有期労働者と比較される無期のフルタイム労働者は誰になるのか、比較対象者をどのように把握するか問題となります。
東京地判令和元年5月30日
本判決は、原告である有期契約労働者に対し、比較対象とすべき、当該無期契約労働者(のグループ)を選び出し、その者との労働条件の相違につき不合理性を主張させ、これを争う被告において、比較対象とすべき別の無期契約労働者(のグループ)がいるのであれば、その者の労働条件を併せ考慮すれば不合理でないことを主張させて、裁判所において、双方の主張立証を踏まえて不合理性を判断する、という手法を用いた。
令和元年5月30日 東京地方裁判所
判例タイムズ1481号197頁以下、
解説
現実論として、裁判所は、当事者の提出した主張や証拠に基づいて判断する(弁論主義)のであるから、原告もしくは被告が主張・立証しないような、異なる労働条件の無期フルタイム労働者の存在を感知することさえできない。
本判決の結論は、民事訴訟法の原則を前提とした認定方法について示したものといえます。






