退職手続の手順(従業員と話し合うべきこと)
2023/04/05 更新
1 退職日等の話し合い
(1)退職日
従業員が退職を申し出てきた場合には、退職日について話し合う必要があります。通常は、給与締め日を退職日とすることが多いでしょう。
(2)年次有給休暇
年次有給休暇については、従業員の権利行使が必要になります。会社としては、自ら年次有給休暇の話をしてもいいですし、従業員が申し出ない限りは特にこれを認めなくても構いません。
有給休暇が残っている場合には、最終出勤日と退職日を別々に分けます。例えば、「令和3年4月3日を最終出勤日とし、翌日以降は年次有給休暇を利用し、令和3年5月1日に退職します。」という形で取り決めをします。
通常の退職届の文言
「私は、一身上の都合により令和3年5月1日に貴社を退職させて頂きます。」
年次有給休暇を利用する場合の退職届の文言
「私は、一身上の都合により令和3年4月3日を最終出勤日とし、翌日以降は年次有給休暇を利用し、令和3年5月1日に退職します。」という文言で退職届を出してもらいます。
https://yuhigaoka-law.com/wp-content/uploads/2021/09/762e92f2ceca6da101291b772ef69501.docx
(3)退職届
退職届は、退職手続を話し合う前提として提出してもらいます。
例えば、「退職日を1週間前倒ししてほしい。」と言われると、大混乱します。
2 健康保険の任意継続
会社で健康保険をかけている場合には、健康保険の任意継続という制度が利用できる場合があります。
任意継続については、「従業員が自分で手続きをする必要があること」「手続は退職より20日以内にする必要があること」を伝えます。
一般論として、任意継続すると保険料は今の倍額になります。国民健康保険に切り替えた場合の保険料は市役所に質問して聞く必要があります。
インターネット等で「健康保険 任意手続」で検索して、このコピーを渡して自分で選択するように案内する必要があります。。
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g2/cat240/r55/
3 健康保険証の返却
「退職日後に健康保険証を使わないこと」、「退職日後、直ちに健康保険証を家族分を含めて会社に提出すること」「会社への健康保険証の郵送が遅れれば、退職手続きが遅れること」について説明する必要があります。
4 国民健康保険の切り替え
退職後、会社が資格喪失証明書を郵送します。
従業員はこれを持って直ちに市役所に行って国民健康保険への切り替え手続きをする必要があることを説明します。
なお、健康保険の任意継続をする場合には、国民健康保険に切り替えてはいけません。
5 離職票の交付の要否
離職の交付の要否も聞く必要があります。
離職票の交付要求がない場合には、離職票を出す必要はありません。
6 最後の給与の計算の方法(住民税)
①6月1日~12月31日に退職した場合、退職月の住民税を給与する方法と、退職する月から翌年5月分までの住民税を退職する月の給与から一括で支払う方法を選べます。
②1月1日~5月31日に退職した場合には、退職月の給与から5月分までの住民税を退職する月の給与から一括で支払う必要があります。
①の場合には、どちらを選ぶかは、②の場合にもいつもと、住民税の計算が大きく異なることを説明する必要があります。
7 最後の給与の計算の方法(社会保険)
社会保険については、入社後1ヶ月目を控除していないために、最終月に2ヵ月控除する必要がある場合もあります。
この点を給与計算の担当者に確認し、その場合には、そのことを説明する必要がありあます。
https://yuhigaoka-law.com/wp-content/uploads/2021/09/a0a6105c91b1786f19ad17aaa54ff3c5.docx