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労使紛争

判例(業務指示違反を理由とする解雇)

2023/04/14 更新

事案の概要

 平成26年 入社

 令和2年   会社は従業員に対しコロナ対策をとるように文書を送った。

 令和3年5月 会社は従業員に対しコロナ対策でマスクをするように指示した。

 令和3年5月 従業員がコロナを発症した。
       療養のやりとりにおいて、「従業員が住所の変更を届けていなかったこと」
       そのために、「通勤費を不当に多く受給していた」が発覚した。
       
 令和3年6月 「5月頃に従業員がマスクをしていなかったこと」について
       お客様の苦情のメールがあった。

 令和3年6月 会社は従業員を解雇した。

裁判所の判断

(1) ①従業員が日常的にマスクをしていなかったが、これまで会社から指導注意をしたことがなかったこと、お客さんからのクレームは1件であること、クラスターが起きたわけではないと。②通勤費の不正受給も虚偽の申告ではなく、転居を知らせることが怠ったものであること、不正受給額も3万円に過ぎないこと、返還する意思をしてしていること、から、業務指示違反を理由とする解雇が違法と判断した。

令和4年12月5日大阪地裁判例

判タ1505号163頁

解説

(1) 業務指示違反による解雇については、まず、業務指示が適切なものか問題となります。
  「会社が従業員に対しコロナ対策でマスクをするように指示したこと」は適切です。
(2) 次に、悪質な違反でない限り、業務指示違反で解雇するは、会社としては、何度も注意指導を行い、段階的な処分(いきなり、解雇するのではなく、より軽い処分をすること)をして、従業員に対し反省、改善の機会を与えることが必要です。
(3) 本件判決は、上記の前提を踏まえて判断した事例です。

参考

 判タ1505号163頁

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