判例(正社員に寒冷地手当を支給し、時給社員については同手当を支給しなくても、時給の決定において地域差を考慮して決定していれば、同一労働同一賃金に違反しない)
2025/10/18 更新
事例
(1)有期契約労働者と、(無期契約労働者である)正社員の業務(郵便業務)には相応の共通点がある。
(2)正社員には、寒冷地手当が支給されている。
正社員の給与について、基本給は地域によって差がない。勤務地域の寒冷地、積雪等を参考に寒冷地手当の金額が決まっていた。
(3)有期契約労働者の時給は、地域別最低賃金が勤務地域ごとに必要とされる生活費を考慮して決まっていた。
判決
(1)個別の手当についてはその手当の趣旨から、パート・有期労働者に対し支給しないことが不合理な待遇差にあたるか判断するべきである。
(2)勤務地の寒冷地、積雪等を参考に寒冷地手当の金額が決まっていたことから、寒冷地であることに起因して暖房用燃料の増加がすることに対し、寒冷地手当が支給されていた。
(3)有期契約労働者の時給は、地域別最低賃金が勤務地域ごとに必要とされる生活費を考慮して決まっていた。
(4)したがって、有期契約労働者についても、寒冷地であることについて調整が図られていることも考慮すれば、有期契約労働者について、寒冷地手当が存在しにことは不合理な待遇差であるとはえいない。
東京地判令和5年7月20日
判例タイムズ1518号163頁