秘密保持と誓約書
2024/02/11 更新
営業秘密
(1)不正競争防止法上の「営業秘密」を不正に取得、使用、開示することは禁止されます(不正競争防止法2条4号~10号)。
(2)営業秘密であるためには、3つの要件を満たすことが必要です。
①その情報にアクセルできる人間を制限したり、その情報を厳重に管理したりしていること(秘密管理性)、
②事業活動に有用であること(有用性)、
③一般に知られていないこと等(非公知性)である。
(3)公序良俗に反する情報でない限り、基本的に有用性は認められます。したがって、その情報にアクセルできる人間を制限したり、その情報を厳重に管理したりしていれば、非公知性を満たす限り、営業秘密として保護されます。
秘密保持と誓約書
(1)社員との間で誓約書を取り交わして、その情報が不正競争防止法上の「営業秘密」であることを確認してくは大切です。
できれば、誓約書には、その情報を特定して明記しておくことが適切でしょう。
(2)社員から、入社時と退社時、そして、定期的に、誓約書を取り付けておくことが大切です。
誓約書(入社時) 株式会社〇〇 殿 私は、貴所で勤務するにあたって、以下の事項を誓約します。 1 守秘義務 (1)個別事件の情報(及びこれが記載した書類等を含む)について、外部に持ち出しません。 (2)個別事件の情報(及びこれが記載した書類等を含む)について、第三者に公開したり、流出させたりしません。 2 ノウハウ及び顧客の持ち出し (1)貴社で使っている書式等について、紙媒体及びデータ等を外部に持ち出しません。 (2)貴社の顧客及びその関係者に対し、貴社の業務に必要な範囲を超えて連絡を取ったり、取引したり致しません。 (3)貴社を退職しても、貴社の許可なく、貴社の顧客及びその関係者に対し、連絡を取ったり、取引したり致しません。 3 知的財産 私が、貴社の業務に関し作成した著作物に関する著作権その他一切の知的財産権は貴社に帰属することに異議ありません。 令和 年 月 日 名前 印 |
誓約書(退社時) 株式会社〇〇 殿 私は、貴所で勤務するにあたって、以下の事項を誓約します。 1 守秘義務 (1)個別事件の情報(及びこれが記載した書類等を含む)について、外部に持ち出しません。 (2)個別事件の情報(及びこれが記載した書類等を含む)について、第三者に公開したり、流出させたりしません。 2 ノウハウ及び顧客の持ち出し (1)貴社で使っている書式等について、紙媒体及びデータ等を外部に持ち出しません。 (2)貴社を退職しても、貴社の許可なく、貴社の顧客及びその関係者に対し、連絡を取ったり、取引したり致しません。 3 貸与物の返還 貴社より預かったパソコン、書類その他の物品について貴社に返還し、コピーを含め何も持ち出しません。 4 清算条項 〇月分給与(支払日〇月〇日)を除いて、貴社に対し何らの債権を有しないこと、貴社に対し何らの請求をしないことを確約します。 5 損害賠償 前条に違反した場合には貴社に対し法的責任を負い、これにより貴社が被った一切の損害を賠償することを約束致します。 令和 年 月 日 名前 印 |
参考
ビジネスガイド2021年11月号38頁