判例(「退職する。」とのメールを送ったことで、労働者の退職の意思が認められた。)
2025/03/27 更新
東京地判令和4年9月15日
事例
労働者はHIV感染者であった。
令和2年3月、労働者は風邪を理由に欠勤した。
令和2年4月、コロナで緊急事態宣言が発令された。
令和2年4月中旬、会社は電話会議をして、労働者に出社を命じ、応じられないなら退職するように、退職案を示した(退職合意)
令和2年4月22日、労働者はJ管理部長と面談し、退職すると、口頭で告げた。
令和2年4月23日、F部長は、「J管理部長から退職すると聞いている。本当に退職するのか。」と質問する旨のメールを送った。これに対して、Xが「退職します。J管理部長にもその旨を告げました。」とメールで返事をした
令和2年4月27日、労働者は、弁護士を通じて、会社に対し「退職の意思はない。退職の意思表示をしていない。仮に意思表示をしていても、撤回する。」と文書を送った。
判決
「令和2年4月22日、労働者はJ管理部長と面談し、退職する」と、口頭で告げたことで、。労働者の退職の意思が認めました。
解決
本件では、会社が労働者に対し、強く退職を迫っていた案件ではないこと、労働者が口頭とメールで一貫して退職の意思を明確にししていたことから、退職の意思を認めました。
東京地判令和4年9月15日
ビジネスガイド2025年11月号96頁