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労使紛争

判例(自動で必要な人員数を割り出して、年次有給休暇を認めるかどうかを判定するシステムがあっても、恒常的に人手不足で年次有給休暇を取得することが難しい場合には、(同システムを利用して)時季変更権を主張することは違法である、とされた。)

2025/03/26 更新

東京高判令和6年2月28日

判例タイムズ1529号110頁

事案
 新幹線の乗務員が前月20日まで、パソコン上で年次有給休暇を申請し、会社がシステムで無作為に前月25日に、勤務割表を作成するシステム上作られていた。
 システム上、新幹線の運行に必要な乗務員の数を割り出すことになっており、勤務日の5日前に、日別の勤務指定表が作成されて具体的な勤務予定が確定される。そのさいに、最終的な必要人数が足りていない場合には、年次有給休暇の申請があっても拒否される仕組みになっていた(時季変更権を行使した)。
 乗務員が、年次有給休暇を不当に拒否されたとして、慰謝料を請求をした。

判例
 社員が年次有給休暇を請求した場合、会社には、①時季変更権を行使するかについて判断する合理的な期間でかつ、②年次有給休暇を希望する日の相当期限前に、時季変更権を行使する必要がある。
 会社は、慢性的な人手不足を原因として、時期変更権を行使することはできない。
 したがって、会社の対応は違法であるとして3万円から20万円の範囲で慰謝料請求を認めた。

解説

(1)時季変更権の行使は、他の時季に年休を与える可能性が前提となっています。したがって、常的に人手不足になっており、常時、代替要員の確保が困難な場合には、時季変更権の行使は違法となるとされています。
(2)自動で必要な人員数を割り出して、年次有給休暇を認めるかどうかを判定するシステムがあっても、恒常的に人手不足で年次有給休暇を取得することが難しい場合には、(同システムを利用して)時季変更権を主張することは違法である、とされた判例です。

参考

 判例タイムズ1529号110頁以下

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