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労使紛争

判例(労働事件と債務不存在の訴え)

2024/05/29 更新

判例(労働事件と債務不存在の訴え)

 ハラスメントを受けたとする労働者に対し会社が債務不存在の訴えをすることは、基本的に確認の利益を欠くために不適法となります。

東京高判令和4年10月20日

判例タイムズ1519号202頁

債務不存在の訴え

(1)債務不存在の訴えは、被告に対し損害賠償債務を負わないことの確認を求める訴えです。

(2)債務不存在の訴えは、交通事故紛争においてよく使われる訴えです。

(3)債務不存在の訴えについては、原告からすれば紛争予防機能があります。

(4)これに対して、現実的な紛争が存在しないのにこれを提起されると被告からすれば不要な応訴負担が生じます。もしくは、準備が必要であるのに、早期の段階で訴訟が提起されることで、実体的な債権者が敗訴することにもなりかねません。

(5)したがって、債務不存在の訴えを提起にするには、現実的な紛争が生じていることと、債権者に十分な準備期間を経過したのに債権者が訴訟提起しない等の事情が必要になると指摘されています。

解説

(1)ハラスメントを受けたとする労働者に対し会社が債務不存在の訴えをすることは、基本的に確認の利益を欠くために不適法となります。

(2)1点目は、労働事件の紛争に地位確認等の様々な対応がありえることです。交通事故では、損害賠償請求の有無が争点です。しかし、労働事件では地位確認等まで紛争の対象にすべきかどうか、が問題となります。紛争の対象なのか明確にすることが困難です。

(3)2点目は、労働事件については、労働者と会社という力関係があり、一方的に会社が訴訟のタイミングを定めることは不適切であるからです。

(4)本判決は、上記2件も加味した上で、労働事件と債務不存在の訴えについては、確認の利益を欠くために不適法と判断しました。

 少なくとも、労働事件において、会社側が債務不存在の訴えを提起することには、確認の利益が認められるべき特段の事情が必要になります。

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