判例(特許侵害訴訟の本案訴訟と、差止請求部分の仮処分が併合審理された事案で、裁判所の心証に基づいて、仮処分の申し立ての一部を取り下げることで、速やかに、仮処分の認容判決を得る工夫がされた。)
2026/02/02 更新
このページを印刷東京地決令和6年9月20日
(1)令和5年6月、XはYに対し、特許侵害訴訟の差止請求訴訟と共に損害賠償請求訴訟を提起した。以下、本案という。
(2)令和5年12月、XはYに対し、本案の差止請求部分について仮処分を申し立て、本案と仮処分が並行審理された。
(3)令和6年6月、裁判所は和解を勧告したが、Xは和解案を出したが、Yは和解案を提出しなかった。
(4)Xは裁判所の心証に基づいて、仮処分の申し立ての一部を取り下げて、その余の申し立てについて、仮処分の速やかな発令を求めた。
(5)令和6年9月、裁判所は、仮処分の認容決定を発令した。
東京地決令和6年9月20日
参考
判例タイムズ1539号235頁
特許侵害訴訟と併合
特許侵害訴訟において、原告は差止訴訟と損害賠償請求訴訟を併合して提起することができます。
特許権侵害訴訟においては、特許の侵害の有無と、損害の審理を分けて行う、という運用がされています。
しかし、損害論の審理に時間がかかることも多く、当事者からも、損害賠償請求訴訟はせずに、差止訴訟だけが提起されることがあります。
本案と仮処分並行審理型
本件では、本案と、本案の差止請求部分に係る仮処分が並行審理された。
Xが裁判所の心証に基づいて、仮処分の申し立ての一部を取り下げたことで、裁判所は、認容すべきと心証を抱いていた差止請求部分について、速やかに仮処分を発令することができた。
解説
現在の実務では、本案と、本案の差止請求部分に係る仮処分が並行審理される。
特許権侵害訴訟においては、特許の侵害の有無と、損害の審理を分けて行う、という運用がされています。特許の侵害の有無について一定程度の審理が進めば、仮処分の発令が可能になるはずです。
仮処分の手続きを迅速に行うための工夫として、参考になります。






