Q 会社の従業員や役員が負傷して休業したが、会社が給与・役員報酬を支払った場合、会社はその額を加害者に請求(反射損害)できますか。
2025/12/06 更新
このページを印刷間接損害
(1)会社の従業員や役員が負傷して休業し、会社の売り上げが減額した場合、これは間接損害と呼ばれる。
(2)間接損害を請求するには、会社と、従業員や役員の経済的一体性が必要です。
反射損害
会社の従業員や役員が負傷して休業したが、会社が給与・役員報酬を支払った場合には、会社はその役員の損害を肩代わりしたことになる。会社はその額を加害者に賠償請求できます。これが、反射損害です。
反射損害の要件
(1) 会社の従業員や役員が負傷して休業したこと
(2)ノーワーク、ノーペイの原則で考えれば、会社には支払い義務がないのに、給与・役員報酬を支払ったことです。
反射損害の法律構成
(1)反射損害の法律構成については見解が分かれます。
①民法422条(賠償者代位)類推適用說、②民法499条(第三者弁済) 類推適用説、③事務管理説、④相当因果関係説の4説があります。
(2)いかなる法律構成を採るかで、訴訟物が異なり、遅延損害金の起算点や弁護士費用の請求の可否も異なる可能性があります。
(3)遅延損害金の起算日 は、①②だと代位が生じた給与等の支払日の翌日だが、④だと不法行為時になります。
参考
判例タイムズ1537号243頁の解説
東京地判令和6年2月7日
会社の役員が負傷して休業したが、会社が役員報酬を支払った場合には、会社は、その役員の損害を肩代わりしたことになります。会社はその額を被害者に賠償請求できます(反射損害)。
判例タイムズ1537号243頁






