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Q (流動)債権動産譲渡担保とは何か。

2025/12/25 更新

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債権譲渡担保

(1)譲渡担保契約とは、金銭債務を担保するため、債務者又は第三者が動産、債権を債権者に譲渡することを内容とする契約です(譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律2条1号)。

(2)譲渡担保契約のうち、債権を目的とするものをいう(譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律2条11号)。

譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律2条 定義
 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 譲渡担保契約 金銭債務を担保するため、債務者又は第三者が動産、債権(民法(明治二十九年法律第八十九号)第三編第一章第四節の規定により譲渡されるものに限る。以下この条、第二十三条第二項、第二十六条第一項第九号及び第五十五条において同じ。)その他の財産(次に掲げるものを除く。)を債権者に譲渡することを内容とする契約(第十六号ロに掲げるものを除く。)をいう。

 (省略)
十一 債権譲渡担保契約 譲渡担保契約のうち、債権を目的とするものをいう。
 (省略)

将来債権を含む(流動)集合債権譲渡担保

(1)発生年月日の始期及び終期発生原因を特定することで、将来発生する債権も一つの集合物として譲渡担保の対象とすることが認められている(譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律53条1項)。

(2)譲渡担保設定時に債権を譲渡させるが、被担保債権が履行遅滞に陥るまでは、担保設定者に取立権限を認めることは認められている(譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律53条1項)。

譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律53条 集合債権譲渡担保権設定者による債権特定範囲に属する債権の取立て
1項 譲渡担保債権の発生年月日の始期及び終期発生原因その他の事項を指定することにより将来において属する債権を含むものとして定められた範囲(以下「債権特定範囲」という。)によって特定された債権(第九十四条において「特定範囲所属債権」という。)を一括して目的とする債権譲渡担保契約(以下「集合債権譲渡担保契約」という。)における債権譲渡担保権設定者(以下「集合債権譲渡担保権設定者」という。)は、集合債権譲渡担保契約に債権特定範囲に属する債権を取り立てることができる旨の定めがあるときは、当該債権特定範囲に属する債権を取り立てることができる。
2項 前項の規定により集合債権譲渡担保権設定者が債権特定範囲に属する債権を取り立てることができる場合には、集合債権譲渡担保契約における債権譲渡担保権(以下「集合債権譲渡担保権」という。)を有する者(以下「集合債権譲渡担保権者」という。)が第四十八条第一項前段に規定する弁済その他の債務を消滅させる事由により受けた利益については、同項後段の規定は、適用しない。

債権譲渡担保権者の対抗要件

1 債権譲渡担保の性質

 債権譲渡担保とは、債権を担保権者に譲渡し、被担保債権が弁済等により消滅すれば、債権が担保設定者に復帰するという担保です。

2 債権譲渡担保の通知

 債権譲渡担保について、担保権者が、第三者に対し譲渡担保の成立を主張するには、確定日付ある通知もしくは、債務者の承諾もしくは、債権譲渡譲渡負登記が必要です(民法467条)(譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律49条)

3 通知の内容

(1)債権譲渡担保では、「譲渡担保設定時に債権を譲渡させるが、被担保債権が履行遅滞に陥るまでは、担保設定者に取立権限を認める。」ことまで通知するのが通常です。

(2)第三債務者は、債権譲渡の通知があった後でも担保設定者に弁済すれば、弁済の効力が認められます(譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律48条1項)。

譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律

48条 譲渡担保債権の第三債務者の弁済等
1項 第三債務者は、債権譲渡担保契約に基づく債権の譲渡について債権譲渡担保権設定者が民法第四百六十七条第一項の規定による通知をし、又は第三債務者が同項の規定による承諾をした時より後に債権譲渡担保権者に対してした弁済その他の債務を消滅させる事由をもって債権譲渡担保権設定者その他の第三者に対抗することができる。この場合において、債権譲渡担保権者は、被担保債権の弁済期が到来するまでは、債権譲渡担保権設定者に対し、その受けた利益の価額に相当する金銭を支払うことを要しない。
(以下、省略)

49条 債権譲渡担保権の順位
 同一の債権について数個の債権譲渡担保権が互いに競合する場合には、その債権譲渡担保権の順位は、民法第四百六十七条第二項に規定する確定日付のある証書による通知又は承諾の前後による。

参考
 岡口基一「要件事実マニュアル(第7版)第1巻 民法1」463頁以下

債権譲渡担保権者の実行

(1)直接取立型

 被担保債権が遅行遅滞となれば、担保権者は債権の取り立ができる(譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律92条)。

 被担保債権が遅行遅滞となるまで、担保設定者が事実上、債権を取り立てをしていた。担保権者が「被担保債権が履行遅滞となったので、今後は、担保権者に支払ってください。」等の通知をすることになろう。

(2)帰属型

 被担保債権が遅行遅滞となれば、担保権者は債権の価格を査定して、その額で被担保債権の弁済へと充当することができる(処分清算)(譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律93条)。

(3)処分型

 被担保債権が遅行遅滞となれば、担保権者は第三者に債権を譲渡して回収を図ることもできる(処分清算)(譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律93条)。

(3)清算金等の取り扱いは、動産譲渡担保と同じです。

参考
 自由と正義2025年12月号17頁以下
 自由と正義2025年12月号28頁以下

 

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