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労使紛争

判例(育児休業が終わって復職した女性に対し、休職前の仕事や給与に戻れるように配慮する義務を怠れば育介法の趣旨に反し違法となる。)

2024/03/19 更新

事案

(1)平成26年当時、女性社員は、40名程度の部下がいるチームのリーダーだった。(リーダーとして高評価だった。)

(2)平成27年2月~平成28年7月まで、女性社員は休職した。平成27年2月から、切迫早産等の体調不良により、傷病休暇を取得し、その後は、産前産後休暇、育児休暇を利用して平成28年7月まで休職した。

(3)平成28年8月、女性社員は復職した。女性社員は部下もおらず、電話営業をさせられた。女性社員は、業績連動給与も大きく下がった。

(4)平成29年3月、女性社員は、リーダーシップの査定を最低の3と評価された。

判例

(1)妊娠、出産、産前休業の請求、産前産後の休業等を理由として、不利益な配置の変更を行うことは、機会均等法や育介法に違反し違法となります。
 しかし、当該女性労働者が当該措置により受ける有利な影響及び不利な影響の内容や程度、当該措置に係る事業主による説明の内容その他の経緯や当該労働者の意向等に照らして、当該女性労働者が自由な意思に基づいて承諾したものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するとき,又は、企業において、降格をさせるべき必要性と、機会均等法や育介法の趣旨に実質的に反しないと認められる特段の事情が存在するときは、同法に違反しない。

(2)本件では、復職後の業務は復職前と著しく質が低下し結果として業績連動給与も大幅に下がり、その状態が平成29年1月以降も継続していたこと、女性社員と十分な話し合いしていなかったことを踏まえて、復職後の業務の変更と継続は違法になると判断しました。

 また、女性社員のリーダーシップの査定も、違法な業務の変更とその継続が招いたものであるとして違法だと判断しました。

東京高判令和5年4月27日

解説

(1)妊娠、育児を理由に休職し、その後、復職した場合に、ブランクを理由に職種を変更し、その職種に見合った給与にすることは違法ではありません。

(2)しかし、育介法等の趣旨からすれば、会社には、休職前の水準の仕事や給与に戻るべく手助けをする義務があり、話し合いであったり、キャリアパスの手助けをしなければ違法になることを示した判例です。

参考

 ビジネスガイド2024年4月号90頁

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