Q 債権の二重譲渡について教えて下さい。
2025/12/29 更新
このページを印刷債権譲渡
債権が二重に譲渡されることがあります。
二重譲渡と抗弁
(1)譲受人への債権譲渡に先立って、債務者が債権譲渡人に弁済すれば、譲受人は債権を取得しない。
(2)譲受人以外の第三者に対し、債権が譲渡され、その第三者が対応要件を備えた。
その第三者の対抗要件の具備が譲受人に優先すれば、譲受人は債権譲渡を主張できなくなります(民法467条)。
対抗要件
(1)二重譲渡の関係にある当事者間において、譲受人が債権譲渡を主張するには、①債権譲渡人から債権を譲り受けたことだけでなく、②対抗要件の具備が必要です(民法467条)。
(2)債権譲渡の通知は、債権譲渡の後になされなければならない。
(3)債権譲渡の承諾は、譲渡前になされたものでもよく、譲渡人、譲受人のいずれになされたものでもよい。
(4)通知、承諾は、確定日付ある証書によらなければならない。確定日付ある証書とは、内容証明や、(公証人の)公証印を意味する。
(5)将来債権の場合には、債権発生前の通知・承諾でよい。
(6)債権譲渡登記は、その登記日を基準とする。
(7)確定日付のある通知の同時到達の場合には、その到達日または承諾の日の前後で決する。
(8)債権譲渡の通知は、債権譲渡人にしかできないが、譲受人が債権譲渡人の代理人として通知することはできる。
参考
岡口基一「要件事実マニュアル(第7版)第1巻 民法1」463頁以下
| 民法466条 債権の譲渡性 1項 債権は、譲り渡すことができる。ただし、その性質がこれを許さないときは、この限りでない。 2項 当事者が債権の譲渡を禁止し、又は制限する旨の意思表示(以下「譲渡制限の意思表示」という。)をしたときであっても、債権の譲渡は、その効力を妨げられない。 3項 前項に規定する場合には、譲渡制限の意思表示がされたことを知り、又は重大な過失によって知らなかった譲受人その他の第三者に対しては、債務者は、その債務の履行を拒むことができ、かつ、譲渡人に対する弁済その他の債務を消滅させる事由をもってその第三者に対抗することができる。 4項 前項の規定は、債務者が債務を履行しない場合において、同項に規定する第三者が相当の期間を定めて譲渡人への履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、その債務者については、適用しない。 民法467条 債権の譲渡の対抗要件 1項 債権の譲渡(現に発生していない債権の譲渡を含む。)は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができない。 2項 前項の通知又は承諾は、確定日付のある証書によってしなければ、債務者以外の第三者に対抗することができない。 民法468条 債権の譲渡における債務者の抗弁 1項 債務者は、対抗要件具備時までに譲渡人に対して生じた事由をもって譲受人に対抗することができる。 2項 第466条第4項の場合における前項の規定の適用については、同項中「対抗要件具備時」とあるのは、「第466条第4項の相当の期間を経過した時」とし、第466条の3の場合における同項の規定の適用については、同項中「対抗要件具備時」とあるのは、「第466条の3の規定により同条の譲受人から供託の請求を受けた時」とする。 |






