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判例(ライバルの選手がルール違反をしている等の投稿が真実性の証明もなく、名誉棄損にあたる。ライバルの選手から、このような誹謗中傷を受けている旨を競技団体に報告する行為には公共性があり、違法性が阻却される。)

2026/01/05 更新

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東京地判令和6年8月6日

1 ライバルの選手がルール違反をしている等の投稿について

(1)一般的基準説
 事実の摘示が社会的評価を低下させるかは、一般人の通常の注意力を前提に、その人の社会的評価が低下するかを基準とします。

(2)名誉棄損

 本件ブログの一般の読者において、Yの投稿は、パラ五輪の代表選手を目指すXがルールを守れない人間であるとの印象を抱かせる。

 Xの名誉棄損が成立する。

(3)目的の公共性

 仮に、パラ五輪の代表選手を目指すXがルールを違反を繰り返しているのが事実であれば、香料の利害に関する事実である。しかし、Yの他のブログ記事を見ると、Xに対する反感、攻撃、挑戦が全面的に出た内容の投稿を繰り返しており、総合的には目的の公共性はない。

(4)真実の相当性

 仮に、Xがルール違反を繰り返しているのであれば、このブログを記載したYは、各競技団体等に通報すればよいがこれをしていない。

 競技大会においても、Xがルール違反を再三指摘されている事実は存在しない。また、Yが、Xがルール違反を再三指摘されていると誤解する事情もない。

 以上、Yの行為は名誉棄損が成立する。

2 誹謗中傷を受けていることを、競技団体に報告する行為について

(1)競技団体に報告する行為と伝播性、公然性

 名誉毀損が成立するには、「公然性(不特定多数への伝達)」、「事実摘示性(具体的な事実を述べること)」、「名誉毀損性(社会的評価の低下)」の3つが必要です。

 Xは「Yから、このような誹謗中傷を受けている」と以下の通報窓口等に報告しました。

 しかし、以下の行為は、「公然性(不特定多数への伝達)」がなく名誉棄損に該当しない。

 競技団体の通報窓口、相談窓口の相談者
 Yのコーチ、Yの勤務先の法務部、Yの代表取締役
 上記行為に、伝播性はなく、名誉棄損に該当しない

(2)競技団体への一般のメールアドレスへのメール送信

 競技団体への一般のメールアドレスに、メールで送信した行為については、同メールのあて先は、通報処理相談窓口ではないし、内部的に多数の者が見る可能性があり、「公然性(不特定多数への伝達)」が認められる。

(3)公益性と真実性

 しかし、上記の通報内容は、①ブログの内容や、②発信者情報開示請求がされて、発信者がYだと判明したこと、③Yに対する損害賠償請求を提起している、ことを記載するものである。

 競技団体の行動規範には、競技者は法令順の守義務があり、名誉棄損行為をすることが禁止され、違反すれば懲戒処分とする旨の決まりがあり、これらの通報の目的も適切な処分を求めるものである。

 以上より、上記の通報内容は、公益性と真実性が認められるので違法性が阻却される。

東京地判令和6年8月6日

判例タイムズ1538号175頁

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