【強制執行】債権差押命令・従業員の給与の差押(第三債務者・会社の立場で)
2023/10/16 更新
このページを印刷債権差押命令・従業員の給与の差押(会社の立場で)
従業員に対する債権者が、給与を差し押さえて、その通知が届くことがあります。
例 社員(男性)は、裁判所で、養育費を支払うとの調停をした。その支払いを滞ったために、給与を差し押さえられた。
例 社員には借金があった。消費者金融から訴えられたが、裁判に出席せずに敗訴した。その支払いを滞ったために、給与を差し押さえられた。
会社としての対応
(1)会社としては、①裁判所の文書どおりに、給与の一部を控除して、残額を従業員に支払う。
もしくは、②社員について、自己破産等の希望があれば弁護士事務所、司法書士事務所を紹介する等の対応になると思います。
(2)①の場合、従業員の手取りが減りますので、退職リスクがあがります。
(3)既に従業員が退職しており、未払い給与等が存在しない場合には、陳述書に「債権が無い。」と回答します。
給与を差し押さえる旨の通知であったが、実際には、業務委託であって、業務委託料の支払いである場合にも、陳述書に「債権が無い。」と回答します。
給与債権の差押
給与債権の差押であるかは、「債権差押命令」の「差押債権目録」で確認します。
差押債権目録で以下のように記載されていれば、給与債権の差押です。
差押債権目録
金 〇円
ただし、債務者が第三債務者から支給される。
(1)毎月の給与(基本給及び諸手当、但し通勤手当を除く)から (2)賞与から所得税、住民税、社会保険料の法定控除額を控除した残額の4分の1
但し、上記残額が月額44万円を超えるときは、その額額から33万円を控除した額
(2)賞与から所得税、住民税、社会保険料の法定控除額を控除した残額の4分の1
但し、上記残額が月額44万円を超えるときは、その額額から33万円を控除した額
(3)退職金から所得税、住民税の法定控除額を控除した残額の4分の1
給与債権の差押
給与債権の場合、債務者の生活保障のために、上記のように差し押さえられる額は、4分の1が限度となるのが原則です。
陳述書の提出義務
通常は、差押債権の有無について、陳述書を出す義務があります。
差押債権とは、従業員に支払うべき給与等のことです。
イメージでは、「従業員に毎月25万円を支払っています。」との陳述書を提出する義務です。
裁判所の書類に問い合わせの裁判所か書かれています。書き方は、その裁判所に電話して聞きながら書いても良いでしょう。
従業員の自己破産
(1)従業員が自己破産の手続きをして免責されれば、債務がなくなりますので、給与の差押の効力は無くなります。もっとも、裁判所の破産開始決定までは、給与の差押の効力は有効です。
(2)自己破産の申し立てには、資料を集める必要があるために、最低でも3ヵ月程度の時間がかかります。