判例(傾斜地の風化を防止するための措置をとるべき、という報告書が存在した事案で、設計会社、販売会社の責任を否定し、マンション管理会社の責任を認めた。)
2024/11/05 更新
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(1)マンションの敷地の斜面地が崩落した。
(2)斜面については、風化により強度が低下しており、落石防止の措置等の対策を推奨しているが、適切な植生(植物を植えること)によって風化を防止することができる、という報告書が存在した。
(3)マンションの敷地が崩落した原因は斜面地の風化が原因であり、植生が不十分だったことも風化の原因であった。
判決
(1)マンション販売会社、設計会社については、販売当時において斜面の安全性を確保していたとして、その責任を否定した。
(2)斜面の安全管理はマンションの管理組合または管理会社が行うべきものであるとして、「マンション販売会社には、報告書の内容を説明する義務はない。」とした。
(3)マンションの管理会社は、報告書を受け取っており、マンションの管理組合(マンションの区分所有者)に対し、風化を防止するための具体的な措置をアドバイスする義務があるとした。
令和5年12月15日横浜地裁
参考
判例タイムズ1523号188頁