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判例(契約書に、「本契約に関する紛争については、クロアチア共和国の裁判所に提訴できる。」と記載されている解釈できるととしても、同管轄の合意については追加的な管轄であると解釈され、日本の裁判所に国際管轄を認めた。)

2026/03/28 更新

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国際裁判管轄の合意

(1)国際裁判管轄の合意には、「特定の国の裁判所にのみ訴えを提起することができる」という「専属的な国際裁判管轄の合意」 と、特定の国の裁判所にも追加で訴えを提起することもできる、という趣旨の定め 「付加的な国際裁判管轄の合意」があります。

(2)契約書に「特定の国の裁判所に訴えを提起する。」と記載されている(と解釈される)ときに、どちらに解釈すべきか問題となります。

(3)契約書に、「特定の国の裁判所にのみ訴えを提起することができる」という「専属的な国際裁判管轄の合意」であることが明記されているときには、公序良俗に違反すると判断されて無効にならない限り、「専属的な国際裁判管轄の合意」であると認定されます。

(4)しかし、文言だけでは、「専属的な国際裁判管轄の合意」 なのか、「付加的な国際裁判管轄の合意」なのか判断できない場合には、裁判所が諸事情を考慮して判断することになります。(判例タイムズ1541号118頁)

東京高判令和7年3月2日 判例タイムズ1541号118頁

1 本件契約書5条の文言

 本件契約5条には以下の文言がありました。

ARBITRATION
In the case when any disagree arises outof this agreement, BUYER and SELLER shall discuss in good faith and resolve theissue. In the case when the resolution in discussion is difficult, it shall be settled by the International Chamber of Commerce located in Paris, or other third party agreed by both PARTIERS.」

仲裁本契約で合意されない事項が生じた場合には、当該問題につき売主と買主は誠意をもって協議し、問題を解決する。協議における解決が困難である場合には、パリに所在する国際商業会議所又は両当事者が合意したその他の第三者が決定する。

2 本件契約書5条についての解釈

(1)本件契約5条には、裁判管轄 を意味する「JURISDICTION」との見出しではなく、仲裁を意味する 「ARBITRATION」との 見出しが付されており、その本文の文言及び体裁 も「jurisdiction」の所在を規定するものではなく、本件契約に基づく紛争に関して訴訟を提起する場合の国際裁判管轄を定めることを明確に示したものではないこと、同条には「exclusive」 又は「exclusively」といった排他性を明示する文言は含まれておらず、また、一般的な渉外関係の法律の文献によれば、同条で用いられている助動詞「shall」の意味について、契約書 などでは命令的に用いられることが多く、法的拘東力の程度が高いとされているものの、他方、許容的に「~できる」との意味で任意規定的に用いられる場合もあると。

(2)仮に本件契約5条を国際裁判管轄の合意とみるとしても、 文理解釈上当然に専属的な管轄について合意したものと理解することはできない。

3 その他事情

 本件契約に基づいて引き渡された物品である本件機械がクロアチア共和国にあること、各当事者のそれぞれの相手方の国の裁判所での応訴の負担があること、本件契約5条が存在すること、本件訴訟と実質的に同一の訴訟がクロアチア共和国で提起されているが、これは本件訴訟の後に提起されていること等を考慮して、同管轄の合意については追加的な管轄であると解釈し、日本の裁判所に国際管轄を認めた。

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