審判(妻が不貞行為の発覚後に、子を連れて別居した。妻は子を不倫相手に会わせて、子が不倫相手をパパと呼ぶことを黙認していたこと、子と父との面会交流を拒絶していたこと等の事情があり、夫が監護権者に指定された事例)
2025/10/23 更新
このページを印刷東京高審令和7年3月4日
事案
(1)妻は結婚当初に専業主婦であったこともあって、子供二人の監護教育は妻が行っていた。
(2)妻が、自分の不貞発覚後に、子供を連れて別居した。
(3)妻は、別居後、妻の実家で4か月程度生活していたが、子と一緒に不貞相手との生活を始めた。
妻は子を不倫相手に会わせて、子が不倫相手をパパと呼ぶことを黙認していた。
(4)妻は別居後に、子と父との面会交流を拒絶していた。
(5)妻も夫との離婚が決まっていない。また、不倫相手も別の人と結婚しており、双方とも離婚と再婚の目途がたっていない。
(6)夫の監護体制についても問題はない。
結論
夫が監護権者に指定された。
参考
判例タイムズ1535号174頁
解説
1 親権者、監護権者の変更
本件では、別居している夫婦において、夫が、妻に対し「自分が監護権者である。」「監護権者である自分に対し子を引き渡せ。」と子の引き渡しを求めました。
家庭裁判所は、子供を監護する者がどちらが適切なのかを判断して、親権者、監護権者を決めます。
2 不貞行為と親権者
(1)不貞行為は、夫婦関係においては離婚原因となりますが、親権者の決定には直接影響を与えないのが原則です。
(2)しかし、本件では、妻が夫との面会交流を認めず、不倫相手と同居して、不倫相手をパパと呼ぶことを許容し、子と父との健全な親子関係を害した点が問題にされて、結果として、夫が監護権者に指定されました。(判例タイムズ1535号175頁)