支払督促
2023/11/07 更新
このページを印刷支払督促
支払督促はどういった時に行うのですか。
支払督促の手続は簡易裁判所で行います。
建物の明渡しを求める訴え等の訴えは支払督促ではできません。
「AはBに対し●円支払え」との金銭請求をする場合にしか使えません。
督促異議
債権者は、簡易裁判所に書類を提出し、不備がなければ書類は簡易裁判所から債務者に送達します。
支払催促(の書類)の送達を受けてから、2週間以内に債務者が異議を出さなければ、債務者の支払い義務が確定します。
これに対して、債務者が異議を出せば、通常訴訟に移行します。
債務者が異議を出した場合
債務者が異議を出してしまうと、債務者の言い分について審理する必要が出てくるために通常の訴訟に移行します。仮に建物が一緒だとしても別の裁判所に移動することになるので、通常訴訟が始まるのが1〜2か月後となります。
督促異議が出される可能性が高い(争いのある)案件では、初めから通常訴訟で訴えた方が時間のロスがありません。
支払督促は争いのない事件で使うべき制度といわれています。
管轄
支払督促の管轄は債務者(訴えられる被告)の住所地を管轄する裁判所となります。
「債権者Aが債務者Bに●円を支払え」という支払督促をする場合には、債務者Bの住所を管轄する裁判所(簡易裁判所)に申し立てをすることになります。
督促異議後の訴訟
督促異議がでますと、140万円以下の事件であれば簡易裁判所で、140万円を超える事件であれば地方裁判所で争うことなります。
通常の事件では、事件の性質によっては債権者(原告)の住所地の裁判所で裁判ができることできます。
これに対して、支払督促後の訴訟については(支払督促の手続をした簡易裁判所が基準になりますので)債務者(訴えられる被告)の住所地を管轄する裁判所となります。
注意点
したがって、管轄の問題(どちらの住所地の裁判所で裁判するか)では支払督促手続を利用した方が、債権者(原告)にとって不利といえます。
裁判所が遠方であったり、裁判が長く続いて10回程度裁判に行く必要があったりする場合には、この不利益は大きなデメリットです。
支払督促と証拠
通常訴訟では、裁判所に訴状を出した後に、裁判所が訴状をチェックします。
必要事項が記載されているかチェックされたり、追加の証拠を要求されたりすることがあります。
これに対して、支払督促の申し立てをする場合、通常訴訟と違って証拠を提出する必要はありません。
定型的な事柄を記載すれば申立書が完成します。
そして、支払督促(の書類)の送達を受けてから、2週間以内に債務者が異議を出さなければ、債務者の支払い義務が確定します(法律上正確な表現ではありませんが、このようなイメージです)。
支払督促は、裁判ではなく事実の取り調べをしません。債務者の黙認をもって、債務の存在を確認する手続です。債務者に言い分があれば、支払督促は終了してしまう、というイメージです。
債権者からすれば、争いのない事件(債務者が異議を申し出てこないと思われるケース)では、簡便に債務名義(イメージとしては、判決です。)を取得する方法といえます。
支払催告を受け取ったとき
債務者の側で支払い督促を受け取った場合にはどうすればよいでしょうか。
差し押さえられるような財産がなく、既に自己破産を決めている場合や、既に1億の借金があり、借金が多少増えても実質的に不利益がない場合や、(債務額に争いがなく)債権者が納得できるような和解案を出すことが難しい場合には、支払督促を無視してもよいでしょう。
訴訟の中で和解交渉する余地がある(債権者が納得できるような和解案を出せる)場合や、利息のカットを交渉したい場合、そもそも、支払督促の「債務額」を争う場合には、直ちに督促異議を出すべきです。
また、2週間は大変短いので、相談できる弁護士、司法書士がいない場合にはとりあえず、督促異議を出すべきです。