ご質問・ご相談などお気軽にお問い合わせください。

TEL 06-6773-9114

FAX 06-6773-9115

受付時間 : 平日10:00 ~18:00 土日祝除く

メールでの
お問い合わせ

特許権侵害と損害の算定(特許法102条)

2024/04/01 更新

  このページを印刷

特許権侵害

(1)特許権侵害を理由とする損害賠償請求権は、民法709条を根拠条文とします。
(2)特許権侵害を理由とする損害賠償請求権には、特許権の侵害、侵害者の故意過失、損害、因果関係が必要になります。

特許権侵害と損害の算定(特許法102条)

 特許法102条は、特許権侵害を理由とする損害賠償請求権においける損害(と因果関係)について以下のように定めます。

特許法102条1項

(1)特許法102条1項は、販売数減少による逸失利益の賠償額の算定方法について定めます。
(2)同法同項は、「侵害者の譲渡数量」×「侵害行為がなければ特許権者等が販売することができた物の単位数当たりの利益」(ただし、特許権者の販売等の能力に応じた額を超えない限度とする。)と定めています。
 この場合の「侵害行為がなければ特許権者等が販売することができた物」とは、侵害品と需要者を共通にする同種の製品であって、市場において侵害者の侵害行為がなければ販売等することができたという競合関係にあたる製品をいます。したがって、特許権者が製造する商品と侵害品が需要者を異にする場合には、市場において競合関係に立たず、特許法102条1項は適用されません。

特許法102条2項

(1)特許法102条2項は、侵害者の利益の額を損害額と推認します。
(2)同法同項は、「侵害者の譲渡数量」×「単位あたりの侵害品の利益」で損害額を推認します。
(3)侵害者が、侵害者が得た利益と、特許権者が被った損害との間に相当因果関係がないことを立証した場合には、特許法102条の適用はありません。そして、特許権者が製造する商品と侵害品が需要者を異にする場合には、市場において競合関係に立たず、特許法102条2項は適用されません。

特許法102条3項

(1)特許法102条3項は、特許発明に際に受け取るべき金額額を損害額とします。
(2)同法同項は、「侵害者の譲渡数量」×「単位あたりの特許発明に際に受け取るべき金額額」を損害額とします。

特許法102条(損害の額の推定等)
1項 特許権者又は専用実施権者が故意又は過失により自己の特許権又は専用実施権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その者がその侵害の行為を組成した物を譲渡したときは、次の各号に掲げる額の合計額を、特許権者又は専用実施権者が受けた損害の額とすることができる。
一 特許権者又は専用実施権者がその侵害の行為がなければ販売することができた物の単位数量当たりの利益の額に、自己の特許権又は専用実施権を侵害した者が譲渡した物の数量(次号において「譲渡数量」という。)のうち当該特許権者又は専用実施権者の実施の能力に応じた数量(同号において「実施相応数量」という。)を超えない部分(その全部又は一部に相当する数量を当該特許権者又は専用実施権者が販売することができないとする事情があるときは、当該事情に相当する数量(同号において「特定数量」という。)を控除した数量)を乗じて得た額
二 譲渡数量のうち実施相応数量を超える数量又は特定数量がある場合(特許権者又は専用実施権者が、当該特許権者の特許権についての専用実施権の設定若しくは通常実施権の許諾又は当該専用実施権者の専用実施権についての通常実施権の許諾をし得たと認められない場合を除く。)におけるこれらの数量に応じた当該特許権又は専用実施権に係る特許発明の実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額
2項 特許権者又は専用実施権者が故意又は過失により自己の特許権又は専用実施権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その者がその侵害の行為により利益を受けているときは、その利益の額は、特許権者又は専用実施権者が受けた損害の額と推定する。
3項 特許権者又は専用実施権者は、故意又は過失により自己の特許権又は専用実施権を侵害した者に対し、その特許発明の実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額の金銭を、自己が受けた損害の額としてその賠償を請求することができる。
4項 裁判所は、第1項第2号及び前項に規定する特許発明の実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額を認定するに当たつては、特許権者又は専用実施権者が、自己の特許権又は専用実施権に係る特許発明の実施の対価について、当該特許権又は専用実施権の侵害があつたことを前提として当該特許権又は専用実施権を侵害した者との間で合意をするとしたならば、当該特許権者又は専用実施権者が得ることとなるその対価を考慮することができる。
5 第3項の規定は、同項に規定する金額を超える損害の賠償の請求を妨げない。この場合において、特許権又は専用実施権を侵害した者に故意又は重大な過失がなかつたときは、裁判所は、損害の賠償の額を定めるについて、これを参酌することができる。
「法律基礎知識」トップに戻る

Contact.お問い合わせ

    ※個人情報の取り扱いについては、プライバシーポリシーをご覧ください。