共同相続人の一人が、被相続人の死亡により死亡保険金を受け取っていた場合、相続人は遺留分侵害額請求権を行使できるか。
2024/03/18 更新
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最判は、「共同相続人の一人が、被相続人の死亡により死亡保険金を受け取っていた場合、著しい不公平があるという特段の事情がある場合に限って、特別受益に準じて持ち戻しを行う。」と判断しました(最判平成16年10月29日民集58巻7号1979頁、判タ1173号199頁)。
保険金額が遺産総額の3分の1を超える事案においては特段の事情を肯定する方向で検討すべき、という考え方もあります。
参考
判例タイムズ1504号116頁
死亡保険金の受取人が、被保険者の配偶者や、病気等により独立した生活を営むことが困難な子供である場合には、被相続人の死亡後の生活費あてることを予定されているとして、特段の事情を否定すべき、という考え方もあります。
参考
山城司「Q&A 遺産分割事件の手引き」256頁
遺留分侵害額請求権
著しい不公平がある場合、上記のとおり、保険金請求が遺留分算定の基礎となります。
著しい不公平がある場合、上記のとおり、相続人は結果として、遺留減殺請求権を行使できることになります。
参考
自由と正義2023年9月号24頁以下